胸郭裏の起立筋深層部のリリースは、おそらく慢性化した凝りがあれば骨化が進んで最難関リリース個所だといえるでしょう

慢性化した状態で起立筋群の硬化が進んでいる方にとって、
下図の部位はリリースするにも困難を極める部分と言えるでしょう。

胸郭裏の起立筋は.png
【胸椎の心臓の高さ当たりの断面図】

昨日の施術で起立筋の特に胸椎と肋骨の隙間スポットに入り込んで、
それらの骨と硬化した筋肉がさらに硬さを増しましにするところがあります。
そのような部位のリリースを、
ベン石温熱器等を有効に使いながらとりおこなっていきました。

そのときにお客様の口から筋膜の多層化した状態についてミルフィーユ状というお言葉をいただきました。

そうなんですよね。
多層構造というのも、一本の筋肉の内部で生じる筋繊維ごとの癒着もありますし、
数本の別々の種類の筋が、それぞれの筋同士の癒着が進んでできる癒着もあります。

具体的に考察すると、
以下のような筋が部分ごとに折り重なっています。

(最長筋・腸肋筋・多裂筋・回旋筋・棘筋・半棘筋)
これらの筋肉をひとまとまりのモノとざっくりとした総称付けが「脊柱起立筋」。
私どもも起立筋というようにお客様の前ではいいますが、
実際は6本ほどの棘筋~などはまったく別の機能を持ち働きを為す筋の集まりです。
だから起立筋を解くというのは、これらの6本の「棘筋~など」を一本ずつに分けていく、けっこう気の遠くなる作業なのです。


ただその作業ですが、最長筋・腸肋筋は、比較的解きやすい位置にあるのでいいのだが、
多裂筋・回旋筋・棘筋・半棘筋などは上図のくさび型のように奥まったところに入り込み
癒着が進んだら非常に適正なリリース成果を生み出すことが難しい。
特に多裂筋等のくさび型の深層の筋が硬さが強まれば、椎骨の関節の位置異常が起こります。


物理的なリリース困難な理由は、肋骨も胸椎の棘突起も、当てるところや方向が悪い圧をかければ骨折しやすい骨ですし、
ミルフィーユ状の筋は平らなミルフィーユ状のではなく、谷底に入って骨と骨との間で骨以上の硬度に感ぜられる硬さを持っている。
慢性化した起立筋の凝りがあるような方の中には、そのような方々は少なくはありません。

そういった椎骨の関節の位置異常が起きていれば、
胸椎の椎間孔からでる脊髄神経にあってはならない圧がかかるか引っ張られるような力がかかります。
その時点で自律神経として脳から目的の臓器に向けて送る情報やまた逆の情報の流れのやり取りの間にノイズが入ります。
自律神経の失調したような状態が現れてしまうのです。

それは交感神経優位な状態のままに、日頃からい続けさせられているという状態になることもあるし、
逆に脳から送る命令の心臓の打ち方を弱めてしまうような誤情報を心臓に渡すようなことも出てきます。
つまり、過不足なく調整した活躍を各臓器にするよう命令を脳が出したにもかかわらず、
椎骨の位置異常がつくり出した椎間孔の出入り口でのトラブルで情報の過不足が出て臓器に命令が届くようなことが生じてきます。
(※ 心臓等の臓器や目などの器官に向かってでていく椎間孔の部位は解剖学的に特定されていますから、
   その機能がうまく果たせていない臓器や器官の椎間孔部位をチェックすることで、それが問題となっているかどうか見えてきます)


(最長筋・腸肋筋・多裂筋・回旋筋・棘筋・半棘筋)
これらが上下に重なったり、左右に重なり、密着した部分の油が切れるような過度なストレスを続ければ癒着へと変わってゆくのです。

特に慢性化した多裂筋や回旋筋の骨化と言えるような凝りは、
ある程度の柔らかさがあれば鉄製のワイヤーのようなライン上の凝りが見て取れるが、
ある程度の柔らかさが切れておればくさび状のエリアは、
あたかも硬化したセメントのようなものが流されたかのようなものにみえてくる。

そのようになっているとき。

横断フリクションをおこなって解くようにと本などで指示したマッサージ教本はあるが、
そのようなことではみじんも解けないようになっていることがあります。
特にデスクワーク中心でカラダの全身動作をせずに重い頭を起立筋の深層筋部分を硬化緊張させ続けている人たちには、
実際にほどこしてみて、そのやり方じゃ全くダメだろうという解き方しか、一般の施術書には書かれていないものです。。。



そこは、一般的なマッサージや手技の限界なのだろうと感じるところです。

ただ研究熱心な先生方で、対応をしてくれる方もおられるので、一概なことは言えませんが、
ここの部位ほどリリースに困難さや危険が付いてくる場所はないといえるでしょう。



ですが。


私も研究熱心に、多裂筋等の起立筋の深層部を解く工夫を積み上げてきました。



そして昨日の施術では、その成果がでてきてホッとしました。

肩甲骨間の回旋筋までは、まだリリースの手が届いてませんが、
明らかにお客様の起立筋部位の血行が以前よりの施術の積み重ねで血液の停滞状態が改善されて、
凝り部位に血が入り干物のように体液が抜けていた筋に血が入ったことにより見受けられる膨張が起きていました。


ようやっと、ここまで来たか。。。


それは私もですがお客様もそう感じておられるでしょう。

あきらめずに、愚直に、この部位のリリースを繰り返してきてよかった。


心兪の部位の凝りにもアプローチしても弾かれ続けてきたものが、
届き始めた。

その部位はすでに痛覚が麻痺するほどの血の流れが減少していたところだったが、
リリース最中に痛みがわかりだしたといいいます。

痛覚麻痺が起きているところは、実際は酸素不足に陥った組織からは炎症物質がでることになっているので、
炎症がある筋組織の状態のままでいたのだったが、痛覚を覚えるというのは高度な自己メンテの機能です。
そこには多量の血があって初めて活躍してくれる機構で、そこが働けないようになっていたことのつらさがありました。
炎症で危機を伝える手ももがれた状態ですから、そうなるとどうなるか。。。

実はそのような感覚が消えたり鈍ったりする部位を、脳は問題ない部位だと勝手な判断をしてムチャや無駄やむらのある使い方を強いてしまう。
結果、そういった麻痺が起きた場所の凝りの増える量は歯止めが効かなくなってしまう。
それが起立筋の深層筋であれば椎間板を位置をずらして椎間孔を通る脳から臓器へ伸びる脊椎神経にマイナスの状態を付与するようなダメージを背負わせてしまうこともできてしまうようです。。。

こういうものって、自分の眼に見えていないうちに、起きていくものなので怖いことだなと感じます。
かくいう私自身も、注意しなければと思うものです。


昨日のお客様のこの部位に関するリリースは昨日、かなり進みました。
いままで積んできたところがあっての、ステップを大マタギできた進展です。

もしかしたら、これでお客様の主訴のひとつが、まったくの解消まではいかなくとも、
改善という状態に押し上げるきっかけになるのではないかと期待しています。
そしてそれに光がさして、見えたきがします。
かなり慎重に状況を見る癖があって楽観視することはしない私ですが、
手ごたえが感じられて、私が何をすべきかという筋道が観えまして。

お客様自身がとても繊細に自身の身体を見つめて操作のチャレンジをなさる方ですから。
もう少し起立筋の深層筋が凝りの強い状態から改善すれば、
あとは、きっとご自身でのセルフケアでも成果を積めますよといえるといいなと考えています。
コロナ禍の影響は今もありますから、血の停滞がある場合には、コロナウイルスの影響が残りやすいようだと言われておりますから。

ただ・・・コロナ禍の影響もあって、お客様が一日に一人までということにさせていただいてまして。
それにより、私がひとりのお客様にその日のエネルギーをぜんぶ、知力体力ともにつぎ込めるのが、今。
それに私自身が施術のし過ぎで疲労蓄積がないという稀有なのが、今。
施術研究の進みもテンポがいつもの7~8倍、
それら実験や観察が進んできた成果が今だから出せたような気がします。

いま、コロナ禍の影響があって、いつも以上に手厚い施術になっていて。
それが功を奏した形で、昨日のお客様のお体のステップが登れていったのはよかったなと思う次第です。


そのような、私にとってたいへんうれしい成果を感じられた一日でした。^-^)