足首には、6本もの経絡が通る気の通りをつかさどる要所。柔軟性をたもつようにすると健康にいい、ですよ!

太極拳のレッスンをする前。
決まっておこなう準備運動があります。

首と手首、足首をよくスムースに動くようになるまで回します。
練習に必要な筋や腱の柔軟性を増すための意図もありますが、
養生としての状態のチェックをするという意味もあります。


たとえば。
足首の前に胃経と脾経の経絡線が通ります。

足首の内側に肝経と腎経の経絡線が通ります。

足首の外側に胆経と膀胱経の経絡線を通ります。


傾向としてという言い方でとどめる程度ですが、
足首の前側を通る部分が硬く柔軟性が停滞していては、そこを通る胃経と脾経の経絡が虚する状態に陥るでしょう。
その胃経と脾経の虚が行き過ぎると血糖値などのバランスが乱れるようなことも起こりえると東洋医学ではいいます。
その際たるものを糖尿病というようなことも。


そして足首の内側が硬くなり柔軟性が低下すれば、肝経と腎経の経絡が虚する状態に。


この場合は、硬化した側の足首がある同側側の肝経と腎経に引き連れのようなことがおこることがあります。
筋肉には経絡の通りを有するものもあり、大腰筋は腎経の通り道になっております。

そして足首内側が強い収縮状態が維持され緊張が抜けない場合、ときおり観察できるのが、
大腰筋の上端部位が横隔膜の背側の脊椎部位に付着点となる横隔靭帯と動きが同期するものとなっており、
足首内側が固まって大腰筋上端部にまで緊張の影響が達している場合、
横隔靭帯にも大腰筋の緊張が影響して物理的に横隔靭帯の凝りが観られる場合があります。

横隔靭帯・大腰筋.png

たとえばかつてヒールを履いていて足首を固めてしまわれたまま。
または外反母趾となったため足裏の土踏まずあたりを終点とする腎経にいい刺激が与えられなくなることも、
大腰筋の筋の状態を弱化させたり緊張状態を強い続けてしまうことがあるといわれているようです。
そうなったことにより、上記のような横隔靭帯の凝りに影響がでてきて季肋部に思わしくない様子が反映されます。


もちろん足首の外側が固まれば胆経や膀胱経へと影響があり、胆のう部や膀胱などの臓器の組織のダメージというよりそれらの五臓六腑の機能や働きが低下するようです。

ボウエンテクニックでは、じつは胃経・脾経、肝経・腎経、胆経・膀胱経が足首を通る部位にムーブをかけることで、
これらの経絡全体への状態改善を狙った足首へのセッションがあります。


足首周辺の構造を組織として考察すれば、
支帯と呼ばれる靭帯によって足首部がリストバンドにてキュッと締め付けられてばらけないようぱっけ維持されているため、
もとよりこの足首部位は他の部位より癒着が進行しやすくなっていますので気を付けて日頃からセルフリリースをすべきところです。
つまり、足首をくるくるまわしてみるようなことですね。
そういったセルフリリースよりも、高い効果を発揮できるよう設計されたボウエンのテクニック。
そこはよく練られていると、私も感心するところです。

ですがこのセッション。
すでに足部の骨の骨膜部に深く癒着が進行しておるときには、
私がそこをボウエンテクニックのムーブだけで処理しようとしても、
うまい対処として後々におよぶ改善が誘発されたり健康な状態の維持はみられるものではないようです。

そのような場合ですが、
伝統的な中国人がどのようなやり方で足首の硬さが強い部位を緩めるのか。
そこを調べてみました。

もしかしたらベン石温熱器を使っているのか?!と思って、応用範囲の拡大につなげられればと思い調べたわけですが、
基本、そこまで一般の人にベン石温熱器が受け入れられているものでもないようで。。。
私がこういった部位のリリースをするにはだいぶ役立つとは思うものの、
やはり足首の刺激すべき患部が凹凸が激しいためベン石温熱器をフィットさせて有効に熱を伝導させてから解くことは難しいのだろうと感じています。

ただその代わりとして、ベン石のかっさを、ご高齢の太極拳などをなさっておられる方々は用いてセルフリリースをなさっているようですね。
他者による施術の推拿という中国マッサージでは強力な足首のリリース技法もあるようです。
ですが自力で自分の体に推拿のテクニックを施そうとしても足首にはなかなかやりづらい。
それがセルフでのハンドマッサージより数倍以上の効率の良さでリリースをかなえてくれるベン石というマッサージに特化した石をもちい、
それにより足首をよくマッサージするという映像をみつけました。
やはりベン石が推奨され、一部にはひすいのかっさでもいいとされていました。
足首、手首、頭部の首のような首といった名がついた場所は、
特に気血の滞りを発症しやすい場だという理解から、
特になすべきとしてなされるようになった首へのベン石かっさによる気の促通マッサージのようです。

ちなみに手首のかっさは手首といいつつも手の甲や手のひらも含めた指の腱を全体緩めるべきです。
手首の場合は、手の指の流れの方向に沿ったかっさの刃の運びでいいのでやりやすいのですが、
足首の場合は、足首から下の足部のかかとやくるぶしなど形状が複雑です。
そのくるぶしの特定部位に経絡が通るラインがあるため、その部位を的確に当てることが必要です。
そこは施術者レベルの知見も要するのかと思う細やかな刺激の加え方がいるのですが、
ひとまずは、そこまで難易度を高めずに足部の経絡の図を眺めながら筋の流れにそったかっさの当て方でやってみましょう。
実際にボウエンでは足首周りの靭帯や腱を刺激するときはソフトな刺激で靭帯や腱の流れに直行する刺激を与えて効果を出します。
ただこれは解剖学的な足部の詳細モデルが頭に入っていてできることなので、難しいようであれば筋腱の流れに沿ったかっさの刺激でも効果はでますので。
そこでのやり方を磨いていってください。