中医学では瘀血についてどういった性質と状態を持つ存在と定義するのか?
今回はそうした点を解き明かしてまいりましょう。
血瘀(状態): 血の流れがドロドロと滞り、スピードが落ちた「渋滞中」の状態。
瘀血(物質): 流れが止まった結果、固まって物質化したもの。中医学ではこれを**「病理的産物であり、かつ致病因子(病気の原因)」**と呼びます。
[血瘀・瘀血図示]
私がYouTubeのがんじゅうふぁみりー氏から学んだ血瘀と瘀血の言葉の定義付けは、
上述とは異なっているのですが、本草薬膳学院の方に準拠して置こうと考えます。
意味内容が異なる解説が多数の書籍内に散見されて、混乱するばかりですね。
瘀血が生まれる「4つの主要ルート」
画像にある「形成原因」を、中医学の理論に基づいてさらに詳しく解き明かします。
① 「気」のトラブル(ポンプと風の異常)
中医学には**「気は血の帥(すい)」**という言葉があります。気は血液を動かすリーダー(推進力)です。
気虚(エネルギー不足): ポンプの出力不足。川を押し流す力が足りず、自然とよどんでしまいます。
気滞(ストレス・停滞): 交通整理の失敗。ストレスなどで気の巡りが止まると、連動して血も止まります。画像に「最も多い」とある通り、現代人の瘀血の主因はここにあることが多いです。
② 温度の異常(熱による煮詰めと、寒による凍結)
血熱互結(熱邪): 画像にある「血を煮詰めてしまう」という表現は秀逸です。例えるなら、**「サラサラの砂糖水が、熱で煮詰められてベタベタのキャラメルになる」**ような状態です。
寒邪(冷え): 逆に冷えは血液を凝固させます。**「冬場に固まるラード」**のように、血管内で血が流れにくくなります。
③ 外傷と物理的損傷
怪我・打ち身: 血管の外に漏れ出た血は、もはや正常な血液(血脈の中を流れるもの)ではなく、その場で「瘀血」へと変化します。
[瘀血生成パターン4解説図]
専門的視点:なぜ「瘀血」は厄介なのか?
「瘀血」の最も恐ろしい点は、画像にもある通り**「それ自体が新たな病因になる」**という点です。
通常の病気は、原因(ウイルスや冷えなど)を取り除けば治ります。しかし、一度形成された「瘀血」は、原因(例えばストレス)を取り除いても、「異物」として体内に残り続け、自律的に悪さをし続けます。 これが「頑固な痛み(刺痛)」や「腫瘍(しこり)」の原因となります。
[瘀血負のループ解説図]
血が濃くなり、臓腑・組織・経絡・血管内に滞ったり詰まってしまう。
痰は遊走性をもって場所を変えられるものの、
瘀血は生成された場所に基本的には居座っててこでも動かないのです。
一部、筋組織の皮膚から近しい表層位置にある瘀血には、
カッピングにより瘀血を外皮まで引き上げ除去できる場合もあるでしょう。
しかしながら生成された場所が臓腑であったり、
骨近くにある深層筋といった最奥位置に瘀血が生成されれば、
容易に除去できないのです。
たとえば瘀血の生成から子宮筋腫という腫瘍ができてしまうと、
それを整体の手技などでは容易に除去することがかないません。
「流れない血は、単なる栄養不足ではなく、毒(病因)に変わる」と言われ
瘀血は腫塊と呼ばれる悪性腫瘍を作り出す病理物質であることも知られております。
そのことからも瘀血を生成しない生活を整えていくことが大切です。
> 気滞(ストレス・停滞): 交通整理の失敗。ストレスなどで気の巡りが止まると、連動して血も止まります。画像に「最も多い」とある通り、現代人の瘀血の主因はここにあることが多いです。
と書かせていただきました。
[中医学を学んだ方は、
気滞は肝にかかるストレスにより生成されるイメージがあるでしょう。
それは正解です。
ただもう一つ忘れてはならない要素が存在します。
心にもストレスを感じ気滞を形成する受容反応が起こるのです。
心は脳髄と結ばれることで記憶を蔵し精神情緒(感情)を表します。
たとえばトラウマの名をもって認知される
無意識的反射からエネルギーを消耗させてやまない記憶があります。
こうした心病証による気滞から瘀血が生成される場合、
サイレントキラーのようにたちの悪さで病の形成を促すことがあります]
潜在意識下に潜り込んだ瘀血生成を促すトラウマによる気滞。
こちらがクセモノです。
その気滞は、
精神に影を落とすのみならず、
肉体への疲労をもたらします。
胆力を発揮しづらい姿勢の形成をもたらします。
実体験を通した話ですが、
丁寧に心病証に関わる気滞を除去するよう心身へのアプローチを継続し、
徐々に心に持つ記憶の解釈が書き換わってトラウマ形成された記憶が
こころを煩躁させる事象から抜け出したとき。
姿勢や所作の動作が変化した例を、私は見せていただいたことがあります。
通常、手技をおこなう先生による整体の施術は、
改善なされた状態が永続することはありません。
第三者による手技という外圧で起きた変化は、
そのまま鵜呑みにして定着させることはしません。
そういった第三者によりもたらされた矯正は、
本人は無意識にそれを拒み以前の状態に戻ろうとする。
恒常性とも呼んでよい反応が起きます。
そうなることで肉体的なアイデンティティが保たれているといってもよいでしょう。
ただ心病証由来のストレスが解消されたことによる場合、
劇的成果のビフォアアフターは、凄まじいインパクトをもって変わります。
根源が書き換えられたことを知らしめるように、
いったん窮屈だった姿勢が手放されたらその状態が当然のようにつづきます。
人間とは、心にストレスを抱え込むことがなければ、
瘀血の量も減り、筋肉の凝りもなく、
経絡内を気がスムースに通行できて痛みもない。
そうした存在になりうるものだろうと私は考えております。
おそらくはミルトン・エリクソンなどの療術師のセッションで、
そうした心的ストレスを軽減させる作用もあったことでしょう。
たとえば知る人ぞ知るシルバマインドコントロールのような、
一般の方がもちいても容易に習得可能なものを身に着けてみる。
たとえば三本指のTechniqueで反射で瞬時にα波の脳波を出せるようになります。
心的ストレスにより気滞が発生するのは脳波がβ波と粗くなっている状態です。
日頃から三本指のテクニックでα波の脳波を出しやすい体質を養いましょう。
そうすることで不思議な心身の変化を実感したという人もいます。
(私も、そうです)
ちなみにマインドフルネス、、、という概念もよいとは思いますが、
集中したいとき、こころが乱れたときなど瞬時にα波へ移行したいときに、
マインドフルネスってどういった作用が得られるものなのでしょうか。
私にはそこが今ひとつ、実感が乏しいところです。