たとえば中医学で不眠を観察いたします。
不眠となる原因はこれだ!!
とひとつだけならこれで対処法が判明です。
とても楽ちんですね。
ですが不眠になる原因は、下の5つのどちらかの可能性があるのです。
□ 心の失調
□ 肝の失調
□ 腎の失調
□ 陽の亢進
□ 陰血不足
たとえば[心の失調]なら、
当然ながら[心への対処]が求められます。
勝手に不眠に効く漢方薬はこれだ!と誤解して[肝の対処]をしたら、誤治による副作用を患うでしょう。
または原因が[肝の失調]だったが[腎の失調]と判断して対処したとします。
[肝の失調]と[腎の失調]は多少の帰経の裏表であり、
関係する深さから誤治でも多少の効果が得られるものの、
効き方はうすらぼんやりして切れ味が悪くなります。
原因にあった対処法を施すべきでしょう。
あとは[陽の亢進]は陰陽の陽の勢力強すぎている状態を言います。
このときは2つのパターンがでてまいります。
陰が少なくなって陽が変わらない場合の(虚熱)と
陰が変わらなくて陽が暴走して大きくなる場合の(実熱)です。
陽の亢進により肝陽上亢で実熱がでていれば、
あからさまな重い症状が見て取れますが、
陰が減り陽が相対的に強くなりほてりのぼせがでてしまう虚熱は
見た目ではちっともわかりません。
だから『ほてりのぼせのときはございますか』と、
虚熱の有無を確認する必要がでてまいります。
『ほてりのぼせがあって困っていますわよ』
とおっしゃられたら[陽の亢進]の虚熱を疑います。
ただ[陰血不足]でもほてりのぼせがあらわれますから、
[陽の亢進]および[陰血不足]の{どちらか}か{どちらも}。
そういった選択しが視えてきた状況だとわかります。
問診の全体や舌診・脈診などを総合判断することで、
どの原因による不眠かを判断していきます。
そういった手数のかかった見立てをするには症状に対する知識と情報とともに、
お客様から必要な情報と不要な情報を聞き分ける能力と、
必要な情報を聞き出す話術が必要になってまいります。
私が持っている弁証論治の本では、そうした状態聴取の具体的な流れまでは把握できませんから。
勉強が進んだらそこにこそ苦労することがでてくるだろうなと感じるところです。
最後に。
意外に陰陽バランスの状態を図示していただくと、
把握しやすくなりますので。
以下に簡単ですが記します。
(中庸に陰陽ともにバランスよく揃った平和状態:健康 図)
(虚熱の陽の亢進 実熱の陽の亢進 図)
陽の亢進は、虚熱も実熱も右手の陽がくっきりと高くなってますね。
この階段のパターンが陽の亢進のイメージです。
左図の虚熱は、陰陽の陰が足りてない部分を中庸ラインまで補う対処をします。
右図の実熱は、陰陽の陽が中庸を超えて過剰な部分を瀉するような対処をします。
陰陽のバランスの乱れ方がわかれば、それを調整する技法の定番がありますので。
適切に対処して健康な平和状態へと移行させるわけですね。
最後に、こうした陰陽や虚実のバランス状態の図を臓腑弁証等の解説にもちいている
『わかりやすい臨床中医臓腑学 第3版』王 財源 著/医歯薬出版
という出版物があり臓腑弁証を学ぶための良書です。
臓腑弁証では、通常は脾不統血や脾陰虚など文字だけで状態が描かれますが、
本書は上記作図のような陰陽バランス図が掲載されており理解を助けます。
陰陽や虚実のバランスの乱れ方を視覚的に把握できることで、
それでその証の性質がイメージできるでしょう。