足の親指の力

足の親指の力は、
腕一本以上のパワーを秘めている。

なぜこんなに力持ちなのか?
それは一見小さな筋肉しかついていないように見える足の親指。
その裏には[長母指伸筋や短母指伸筋]-[長母指屈筋や短母指屈筋]がある。
そして前脛骨筋という強力な筋肉。
見掛けは小さい。
だが体を支え、歩き、走るために足の親指の機能は大きい。

それに見合うだけのパワーが割り振られている。

だから体をちょっとでも前に前傾させるならば、
足の親指に強い力が入る。
この瞬間に貴方の立ち姿はゆがんでしまう。
この親指を力ませてしまったら膝裏が硬まる。
そして膝関節は閉じる。
膝関節の間にある関節包というクッションが強力につぶされるからだ。
そしてひ骨がずれる。

これだけで下半身や上半身すべてが既に総崩れになる。
『親指に力みがはいっているだけで』だ。

それだけで体全体がミスアライメント状態。

『理想的な立ち方』に要求される注意事項は非常に多い。
親指の注意はその中のたったひとつだ。

立ち方の注意点について、
羅列してあげることはできる。
だが適切な指導を受け体感しない限りその意味は解らない。

文章で正確に書かれていても、
それは見慣れない数学の公式を見るのと同じようなもの。
その公式の基礎概念を理解できれば意味内容をくみ取れる。

だが要求される注意事項ひとつひとつすべてに、
たとえば
(S^2=q(q-a)(q-b)(q-c)  条件 q=(a+b+c)/2)
のような公式が隠されています。

ちなみに上記はヘロンの公式です。
ヘロンの公式を知っていて3辺から面積を・・・とピン!とくれば、
何を言っているか解る。
だが始めてみた人は「文字としては読める」が「意味がよく解らない」。
すると字図らだけを追ってしまう。
致命的な誤解が生じることも多い。

私も本などで字図らだけを追ってしまい迷宮に入り、
必死に考えてることが多い。
後に公式の意味がわかって問題が氷解するときがある。
解りだすと「ははぁ〜ん、なーるほど」というものだ。
その繰り返しでひとつひとつ公式を頭に入れていかなければならない。

立ち方や所作振る舞いを精査して理解しようとすればするほど奥深い。

ワーカーや運動機能を向上させることが主目的の方でなければ
そこまで必要とはしなくてもいいだろう。
だがこの体の中の公式を多く理解することが、
自分の身を救うことは確かです。