私が立つときの姿勢をチェックするとき。
「ちょっと膝が曲がっているようですね。
もうちょっとハムストリングやアキレス腱側を伸ばしましょうか!」
という指摘をさせていただくときがあります。
お客様の中には、
かえって膝が伸びている状態は、
いつもの姿勢ではない姿勢を強いられていて、
快適な状態だとは言えないものでしょうから。
変なことをいうなと、
訝しく思えるかもしれません。
異常に、余計な緊張を感じてしまう。
ならば膝を少し緩めて曲げる程度のほうが自分には楽だと感じるという場合もあります。
膝をちょっと曲げて立つというようにしたほうが、
機能を優先し歪曲を選択した状態といえるのでしょう。
いつもの慣れ親しんだ状態を維持するときは、
すでにそのような姿勢でも立つことができるように、
シコリ化が進んでいます。
しこりのおかげで、
楽にそれで立つことができるようなパターンに変わってしまっている。
そうなるとかえって膝を曲げて立つために特化した膝上のしこりは、
まっすぐに膝を伸ばそうとするときの妨げをする器官に変わり果て、
理想的な膝を伸展させた状態が窮屈な状態としか感じられません。
かえって膝を曲げっぱなしで筋緊張を強いて居続ける状態のほうが違和感を感じない。
いったん場当たり的な力みを筋肉に入れて筋緊張を作り、
その力に頼りきって体を支えるという選択を取ったなら。
残念ながら、
自らがその問題に気づき修正をするようなことはしない。
それは自分が本能的に選択した筋緊張を創りだして支えるというやり方を、
すでに何千回も、、、いや、何万回も繰り返し続けてきた行為だからです。
姿勢筋は体の垂直性を無視して立ち、
そのような姿勢運動をするようにと、
何ら他の最良のやり方を考えようと言う疑問も持たずに、
同じアライメントが崩れた状態の選択を繰り返すのです。
わかりやすく言えば、
「ちょっと膝を曲げたほうが、私は楽なんですよね」という状態は、
電信柱を斜めに立てているようなものですから、
揺れに対して弱い方向が出てしまうんですよね。
人体が自然体で重力線にそって立つ状態では
骨格部分に垂直性を維持できていることが必要な部位があります。
たとえば家で考えれば、柱が斜めっていては地震に弱くなります。
家の柱は屋根を支える脚部のようなもので、
人間にとってみれば足のようなものですね。
この足が2つに分断され中程で折れ曲がって、
ぐにゃぐにゃと曲がり角度が動いてしまうなら相当に不安定な状態だということはわかりますね。
一階しかない平屋を建てるのに、その柱の中ほどが折れ曲がっていて曲がっている関節部がゆるいならば、
それはもう不安定極まりないだけじゃなく、
壁もすぐにボロボロになって崩壊しますよ。
とても住めた家じゃありませんよね。。。
というようなイメージをいだいたりします。
ここでもうちょっと興味深いところへと見方を広げていきましょう。
『新マニピュレーションアプローチ<<下肢>>』
という本がありまして、
体の各部の姿勢と感情の現れについて解説しているページがあります。
人は、そのときの心理状態により
膝を伸ばして立ったり、
膝を曲げ気味で立ったりしています。
ちなみに、
これは太極拳などの膝を緩めて少し曲げて立つといった目的的に沿った立ち方をするというものではなくて、
知らず知らずにしてしまう姿勢の状態のことを指します。
太極拳の場合などは応用系のその運動に適したものに変化させた立ち方なのですから、
それを自然体で立つという状態と混同すると、微妙に話が噛み合わなくなりますので。 ^-^
■ 膝が伸びて下腿が開き気味で下肢が外旋しているとき。
以下の様な心の状態であることを示しています。
・自信
・野心
・魅了
・行動したいという欲求
・挑戦
・自己顕示
・確信
(その他は割愛します)
■ 膝が屈曲気味で、下肢が内旋しているとき。
以下の様な心の状態であることを示しています。
・自信のなさ
・優柔不断
・不安
・庇護して欲しいという欲求
・対決への恐れ
・もろさ
・弱さ
(その他は割愛します)
というようなことを、
膝の伸展や屈曲の状態をチェックできるんだよ〜とおっしゃられるのです。
するとどうも膝が伸びていたほうが感情面は安定してるんじゃなかろうか?
そんな気になってくることでしょう。
そして実際に膝を理想状態で立てていなかった方が、
うまく伸展させて立てるようになったときに性格が変わっていたということを目の当たりにしたことは、
なんどもありますから。
本人もそういえば昔の自分とは、
物事の考え方や受け止め方が変わってきたとかおっしゃられることもございます。
むろん、膝は膝単独で屈曲したままになっているわけではないので、
頚椎や腰部の前弯の改善や股関節の問題や足首の柔軟性などなど、
その他にもいくつもの膝を曲げてどうにかバランスをとらざるを得ない状態から抜けださせる必要がある。
つまり膝は、体の各部の歪みなどで生じた垂直性のズレが生じた問題をダイナミックにその負担を肩代わりする。
全身の歪みは膝に出ると言っても過言じゃない。
それゆえに膝は膝だけをみて直せないし、
一時的対処に過ぎないことを繰り返せばかえって半月板やら膝周囲の靭帯を痛めて劣化を促進させることに。
だから全身を直すのと平行して膝を適量ずつ治していくという見方をしていきます。
そしてそうやった末に、
膝は伸びて下肢が外旋するという状態を創り出せるのですね。