立位、歩行等ではまずは肘の伸展。それができれば膝はそれにしたがう。

合掌造りの家。

屋根まで支える柱は、地面から天井まで、まっすぐだ。
もし柱が、中ほどで分断されて「くの字」に折れ曲がっていたとすれば。
些細な地震が来ただけでも、その建築構造体は崩壊する恐れが出てきます。


家の柱.jpg




猫の立位。

膝や肘により挟まれている骨は伸展(折れ曲がらず伸びている)している。
もし猫が肘と膝を折り曲げて屈曲させれば、数分も立っていられはしない。

四つ足の柱.jpg




人間の立位。

四足の猫の骨格の名残で肘の伸展筋が働くと、膝の伸展筋が自動で働く仕組みがある。
それを応用して肘を伸展させて、膝の伸展筋を働かせ、肘と膝の両方の骨を折れ曲がらないよう伸ばして立つ構造を作り出す。
これで下脚の伸展をもたらして、足の骨が支える柱のメインとして機能し続けている。



上腕三頭筋という下図の上腕の裏手にある筋肉が力感を持てば肘は伸展し、
それが膝を伸展させて脚の大腿骨と脛骨の関節をつなぐ作用をもたらします。
このとき、優雅な脚の運びがなされていて、長距離歩行でも疲労しなくなる。

このことに気づいたとき、
グラウディングができて安定したね」といわれます。

肘と膝の伸展筋が鍵.jpg


ただ、日本人の歩いている人、ランキングをしている人。
その6~7割は、ここが盲点になっています。

人が歩いたり立ち続けて疲れがでるのは、
肘と膝を屈曲(一本の心柱としたいものが、途中で「くの字」に折れ曲がる)させている。
つまり手足の屈筋を作用させて、支柱となる骨の柱を不安定な分断をおこさせています。
この時点で合掌造りの家の柱が真ん中でぽっきり折り曲げられたのと同じ。
脚の骨は、膝で「くの字」に曲がり、その屈曲の量が不安定に加減を持って増減し続ける。


肘が上腕二頭筋という力こぶが出る筋肉に力感がこもれば、
それが壊滅的な疲労を脚の筋にあたえることとなります。
左右の下脚の屈曲の度合いの差が、腸骨の過剰前傾をもたらし、胴体の捻じれ等の体幹のゆがみをもたらしていくのです。






ちなみに日本人以外の海外の者の多くは、普通に上腕三頭筋で肘を伸展させて動けてます。
その好例をお伝えいたします。


フランスに私の知っている日本人女性が移住したとき。
彼女は8年ほど日本でバレエを習っていました。
かなり踊れる人です。
フランスの片田舎にあるバレエスタジオに入り、
レッスンを継続したときのこと。

彼女と同じくらいにスタジオに入った16歳の女の子が、
わずか一週間でナチュラルなバレエの動きができていて驚愕したそうです。
彼女もいい動きができてはいるものの、ここまでくるのに8年かかったのです。

フランス生まれの女の子は、普通に肘を伸展させる筋肉を使いこなせていたのです。
日本生まれで大人からバレエを始めた彼女は、肘を屈曲させる筋肉をそれまで使い続けて、
その癖が自然過ぎて自分でそこに最大の欠点があるという自覚が持てないまま6~7年バレエをしていました。
そこの秘密に気づいたのが8年目の最近でした。

フランス人が普通になんら修行もせずに、自分以上にうまく手足を活かしている姿をみて彼女は。
この、小娘が!!」と日本語で、笑顔で叫んでたそうです。


このフランス人の女の子が特別な体の使い手であったわけではなく、
日本人体質といえそうな屈曲伸展のなかでも屈曲が先走ります。
あげくのはては屈曲拘縮をおこし凝りを量産する民の方が世界的にめずらしい。

そういうことなんです。。。



現代はそういう不都合なところに落ち込んでいるわけですが、
江戸時代以前の侍や庶民や力士などの写真をみれば、
誰もが今のフランス人の女の子のような身体操作だったことが見えてきます。

現状の立位や歩行時の肘の屈曲癖。
一刻も早く、そのような自覚に目覚めて、手放してくださいね。


ここに背骨がゆがむ秘密があるって、多くは語られていないのが不思議でしかたありません。