まず最初のお断りとして心していただきたいことは、
頚椎の調節とは、頚椎のみの調整と考えてはなりません。
筋肉の凝りが生じる多くは凝りが起きる箇所の下方の組織が水平面および垂直性が乱れており、理想とはいえない状況下にあります。
まずはそうした根幹部の調整を7分通り改善させたことを確認してから、そのうえの組織やパーツの水平や垂直などの軸の乱れを補正するために作った傾斜やねじれなどに対して、修正を加えることができます。
土台が不都合や不具合があるまま、そのうえに建つ社を治しても、
そうした乱れた土台はさらなる乱れが生じるのが常です。
すると長く改善は持ちませんし、かえって複雑な凝りを作り出すリスクが高まり、その後の修正ができなくなるばかりか動脈管に対しての圧迫に手を出した修正にまでおよぶケースがでてまいります。
頸部(首)の場合は、首の土台になる胸部およびそれ以下が建築物のような構造体として整えられているかどうかを優先して調整をし、そちらが済んだあとに頸部の調整をしていきましょうということですね。
ではこうした胸部以下のリリースを適宜改善した過程を経て、頸部のリリースに取り掛かることといたします。
通常、頸部の筋肉を考慮すると後面の僧帽筋や起立筋、肩甲挙筋、頭板状筋等の筋群があるでしょう。頭部付近の筋群をアプローチするときには、大椎などの脊髄神経に影響が与えられるため慎重におこなうべきで、一般の方が手技を正しくわからないまま触れるのは避けていただきたい箇所となります。ただこの部位の乱れが大きな健康トラブルを引き起こす引き金であって治療点としては重要なもので、手技による圧法以外の温熱による凝りを緩める操作をしていただくことが無難かと思われます。
対して頸部の前面・側面の筋肉で大きな存在感がパット見でわかるのは胸鎖乳突筋でしょう。
健常であれば、首筋にくっきり胸骨や鎖骨内側から耳の付け根の裏まで筋肉のスジが見て取れます。存在感があるだけあってアプローチがしやすい筋肉でありますが、実は胸骨と鎖骨の直上位置で胸鎖乳突筋の裏にあるとある筋肉と癒合が進みやすいことでも知られています。
他の頸部前面・側面にある筋肉で知られるのは斜角筋(前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋)です。
斜角筋になると少し喉の側へ奥まった位置におかれ頚椎に付着の上端を持ちます。もろに下顎のずれに影響を与える筋肉ではありませんが、斜頸をつくり結果的に顎関節への位置の異常を引き起こすことがあります。
と、こうした胸鎖乳突筋や斜角筋が頸部の筋肉では一般的に気になるところと言えるでしょう。![]()
(胸鎖乳突筋・斜角筋の頸部の絵)
ですが、下顎がズレてしまう影響から奥歯を強く噛み締めて割ってしまったり、前歯を欠けさせてしまったり(私か!!)という場合、アゴの開閉や咀嚼をする咬筋群重要とされていますので、こうした咀嚼筋の凝りに潜在したトラブルが有るのは、ほぼ確実です。
ただ実はこうした咬筋群をリリースしただけでは、下顎の中心線のずれが補正されないというケースがございます。では、それはなにが起因してそうなっているのでしょうか?
もうひとつ重要なリリースすると良い箇所にアプローチがしずらいため、なかなかそこが変えづらいという状況からおこることも。それは舌骨筋群(胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋など)が影響しています。![]()
(舌骨を支える筋群の絵)
舌骨は、唯一関節をもたない骨として知られ、幾本もの筋肉で支えられ動きを与えられ機能する変わりだねの筋肉です。
施術者なら舌骨と舌骨下に位置する甲状軟骨や甲状腺と触診で区別できますから、舌骨に付着した筋肉の付着部の凝りを緩めることもかなうかもしれませんが、先端骨が鉤手の指先ではアプローチするにはもっとも危険で不向きな箇所であります。それもあり整体やマッサージの習いたての教科書ではアプローチをしてはならないという禁忌扱いになさられる場合もあるようです。
ただ頸部の凝りが著しい状態の長年の経過から、または強いストレスから与えられる緊張による舌骨位置が大幅にずらされ固定したような場合、舌骨に関わる筋肉群の状態劣化がよく観察されているようです。奥歯が割れたり前歯が割れたりという方は、ほぼ100%に近しい確率で異状がみられることでしょう。前歯に不調を被った私もこうした舌骨関連筋のリリースが必要だということです。
それもあって胸鎖乳突筋、斜角筋のリリースを5割ほど完了させてから、少しずつ舌骨関連筋の不調箇所のリリースをはかりました。リリースに用いたグッズはくぼみの形状をもつ砭石のかっさです。こちらが一番収まりがよく効率的に患部へとアプローチが可能でした。
個人的に来週の月曜に歯医者の予約がとれたので、その通院日までに、3割方は改善をさせておかないとということで。もし現状の下顎の問題を引き起こす筋群を抱えたまま歯科治療を受ければ、ほぼほぼややっこしい状態に陥ることは明らかと判断してのこと。少しことを急き立てる流れでリスクはあるものの舌骨関連筋にアプローチを加え、舌骨をずらした元を緩めていっております。
■ 舌骨の位置ズレに問題は多岐に派生するものでございますが、
声が出にくくなった、
喉が詰まる、
飲食物を飲み込みづらく感じる、
歯のかみ合わせがずれてしまう、
噛み合わせたときに力加減が過剰に出力して歯が欠ける、
といった状態異常の引き金として舌骨関連筋が顔を出すこともあります。
そうした気配がございましたら信頼ある施術家の先生にご相談していただくことをお勧めいたします。
【ご注意】舌骨関連筋が問題ありそうだなと自己判断して舌骨だけにマッサージを加えて緩めようとなさるのは最悪の悪手でございますので、そのようなことはなさらずに、しっかりと臨床を積まれた解剖学や手技の用法を適切に運用できる先生をお探しいただき連絡をとられるようになさってください。