盲目の王女、ジョゼフィーナ

フィリピンに『カリ』という武術がある。
ブルース・リーのファンだったらご存じかも。


カリにはビラブリェという伝説的な無敗を誇る強さを誇る勇者がいた。
『武学探求』(光岡 英稔 (著), 甲野 善紀 (著))という本に、
ビラブリェの写真が掲載されていたと思う(違ってたらごめんなさいm__m)。
その勇者が諸国を巡り修行をした。
そしてサマール島のグンダリで
盲目のイスラムの王女・ジョゼフィーナからカリを学んだという。


ここで疑問を持った。


強者として馴らした男がなぜ盲目のジョゼフィーナから学んだのか。
ジョゼフィーナはビラブリェの常人では捉えきれない動きを捉えたという。
負け知らずのビラブリェ。
その彼が師と仰いで止まない。
どんな動きもジョゼフィーナはお見通しと語った。
現にそのようなエピソードが残っているようです。


盲目の彼女は一体どのように観ていたのだろう。


私たちと違うモノの把握能力を発揮していたはずだ。
私たちは目で周囲を二次元ソナーのように見ている。


私の単なる仮説ですが、
ジョゼフィーナは二次元ソナーを超えた状況把握をすることができたのでは?


例えば音を観る能力。
超音波を出して自分に反射する時間差と動きで
暗闇でもモノの距離と形状と把握するコウモリ。
驚くほど正確に形状や質感まで捉えてしまう。
それに類似したような能力があったのだろうか。


または流れる風の動きを観る。
風がモノに当たることにより起きる乱気流。
音や風の跳ね返りによる物陰にある人物の動きさえも把握していたのではないか。


こんな私の仮説では計り知れない手法で、
二次元ソナーでは把握しきれない情報を、
三次元をより立体的に把握する能力を手に入れて観ている。
そのように思えてならない。


言葉で言えば突飛な表現だが、
音を観る『観音様』のよう存在。
音という物質の振動から生まれる波動を、
とてもよく観ることができる能力かもしれない。。。



ジョゼフィーナの脳は二次元のビジョンではなく、
真に三次元に近いビジョンで陰ひなたのない世界を観ていた。
物陰に隠れている敵の様子さえ観て捉えている。


静かに平常心で相手の全身を全霊で受け入れている。
些細な雑念でもあればささやかな音情報はかき消されてしまう。
それに自分の身体全身の皮膚という触覚センサーで音を拾えなくなる。


そんな目をもつジョゼフィーナに受け入れられたビラブリェは
その人を前にしていったいどんな気持ちでいればいいのだろう。
そう想像してみると、
神々しくて愉快な衝撃を覚える。




と、、、
ここまで見事に仮説というか妄想で話を押し進めてきたわけですが、
実際はもっと違った原理が働いているのかもしれません。、
それは私にはよく分かりません。


でも目を閉じて身体全身で音を観ることを心がければ、
想像以上に心を静めてくれるでしょう。


期せずして『観音』様のネームに近づく音を観るエクササイズをすることは、
心身に素晴らしい豊かさを与えてくれることと思います。


そしておそらくダンスや武術や技芸にも、
『空気を読む』というような表現でこの能力の養成が大切だろうと感じます。