施術で大変なハードルの高さがあるのが、前縦靭帯が骨のように固まって動かない状態です


前縦靭帯骨化症.jpg


図を観ていただいて、
薄緑色の部分が前縦靭帯という靭帯です。


体調が極端に悪い方には、
意外に多くの割合でこの前縦靭帯が骨ほどに硬化してしまい、
胸椎がほとんど動けなくなっている人が多くおられるようです。
実際にお医者様から「前縦靭帯骨化症」という症状名をいただき、
私どものところへおいでいただいたお客様もおられます。


ただそのような症状名をもらっていなくとも、
実際には胸椎の椎間板が縮んだままだったり、
椎間板が部分的に拡張したままであったり。
あまり変異したまま動けない部分があるか、
胸椎全体どころか胸郭全体の動きが大きく制限をうける場合があります。


この前縦靭帯は、胸椎の前側にあるということで、
胸骨や肋骨、そして心臓や肺の裏側に位置します。



多くの場合は、この前縦靭帯が硬化した状態が強まるときには、
肺の動きや肋骨や胸骨の稼働制限による呼吸のしづらさ・息苦しさ、
胸腺の働きの制限により免疫力の低下からアレルギー等や病疾患になりやすく、
心臓への負担からの血行への問題などが生じてしまうものです。


ですがお気づきのように、前縦靭帯に対して、
直接的な物理圧をかけることが不可能に近い。
胸骨や肋骨、そして心臓や肺越しに前縦靭帯を加圧するなんて、
できるものじゃありません。



すると多くは前縦靭帯の硬化に問題がでてしまうことがあれば、
ほとんどは一生そのままでいるしかないのです。。。




ただ、異常といえるほど、
現在の日本人の姿勢悪化のせいで、
前縦靭帯が骨のように固くなり胸椎が動けない人が増えています。



私個人の施術上の対処として、
この部分に対しても背中側からのインパクト圧やそれを掛ける前の念入りな下ごしらえ、
それにつづく重りをつかったてこの原理を活かした胸椎部分のリリースなどをすること。
最近、インパクト圧が使えるようになって、
どうにかこうにか、そのリリースの成績が良くなってきました。



ただ、、、じつに大変極まりない作業量ではんぱのない精神力や集中力が必要な難しい計算が重なる施術です。
施術をする私が息をするのも忘れ、
お客様の状態を必死に把握して、
それを私の脳内に3Dに描き直してアプローチポイントを絞り込み、
そして手順を決定しつつ、それを暫時改定しつつ、
険しい山道を登っていくような感じです。


あまりの大変さから前縦靭帯が硬すぎるという方の施術が続くと、
施術後にほぼほぼ、お客様がお帰りになられた瞬間に、
その場で倒れるように意識を失う感じ。
夜中の3時まで気がつかないほどです。



この前縦靭帯が骨化したら、
私自身、多くの施術関係の本を目を通して、いいと書かれていることは、
愚直に必死にトライしてみたが、どれも、現在の日本人の骨化具合には、
歯がたたないものでしたから。



まずもって必要なことは。


普段からの姿勢を悪化させないようにするスキルを養うことですね。
そして意識的に猫背だったり反り腰だったり、
首や頭が前に落ちるほど出てしまっているような状態となることを避けてください。


そして前縦靭帯を骨化させるまで、固めないうちに、
ヨガや肋木、その他、エクササイズや施術院で施術を受ける等により、
改善を図ることです。


または下記の本なども参考になるでしょう。
どうしても胸郭運動の改善をお客様にしてほしくて、
先日から購入を考えていたが費用をそちらに当てられずにいたのだが。。。ついに、買っちゃいました。^-^
ただこれは一般書ではなく専門書ですから、一般の方にはすこし自分で読みこなし実践するにはハードルが高いかと思います。

胸郭運動システムの再建法 第2版-呼吸運動再構築理論に基づく評価と治療 Web動画付



もしほんとうに前縦靭帯が骨化してしまい脊椎の稼働制限が著しくなったり、
胸郭内外の臓器へと不調が及ぶようなまで固めてしまったら。
現実的な話として、
改善はなされづらいといえるのではないでしょうか。


私自身、多くの施術院を知っているわけではありませんから、
いい加減なことを申し上げられませんが、
私の知り合いのとても優れた能力を持つ施術家の方でさえも、
この部分に極端な問題が起きれば、無茶な力をかけるような
力任せの施術をしたら、かえって骨化した靭帯が裂けたり
周りの組織をともなって肉離れ状になってしまったり、
甚大な故障リスクが起きるおそれがあるからアプローチは、
改善できるほどのことはできないと言っておりました。


私のところでは、私が多くの時間をここに意図的に割くことで、
どうにかこうにか対処を図るようにしているのですが、
私と同じ程の施術時間をお一人のお客様にかけることができず、
やはり対処は難しいと言わざるをえないとのこと。


実際に胸椎部分をいきなりスラストをかけられて、
甚大な事故が起きたというケースも聞きますから。


お客様への危険を避けるため、
手を出さないようにするときがあっても正解だと思います。
しっかり研究、研鑽を積んで十分な力が整えられたときに、
そのときに初めてアプローチをするようにしたほうがいい。
そのようにいってよいと、私は考えます。




私自身も、前縦靭帯が骨化した方へのアプローチ自体、
危険だからできないと言ってしまえがいいのかもしれません。
ですが、日頃、よくしていただくお客様ですから、そうも言えずに進んで施術を試みますが。


私自身の施術でも十分すぎるほどのことができているとは言えません。
少しずつ進展はあるものの、難解な問題はいまだに多く、課題ばかりだともいえるでしょう。
まだまだ、研究段階です。





本音で言うと、
極力、前縦靭帯骨化症は、さまざまな内臓諸器官への問題や運動器系の制限など、
生命にかかわるような重大なネックとなるので、
そこまで固める前の前に、固めないように努めてもらうというのがいいんですね。


それが、お客様にも施術をする私達にも、なによりうれしい結果を生み出せるでしょう。 ^-^