大腰筋、腸骨筋への対処は、積極的にすべきか?  私個人の考えでは、大腰筋の自己矯正はリスキーなので手を出さないほうが無難。手を出すときには、施術者レベルの知見が必須の筋肉のうちのひとつだから。

大腰筋と腸骨筋をセットとして考えて、
総称として腸腰筋という名で呼ぶことがあります。

腸腰筋.png

この腸腰筋の扱いについて。

腸腰筋の異常を見つけたら。
臨床経験豊富な施術家の方なら、
ここは腰椎の位置のずれや脚の作動の問題、
それに股関節のはまりや、
骨盤のずれ、
脚部へ流れる血液やリンパの流れにも影響がでる。
その他、いくつもの不調原因を直すことができる重要な治療点となる。
体幹をささえる力の作用から考えてみたら、治療必須の筋として10本の指に収まるほどの重要な筋肉だといえるでしょう。

私はお腹のチェックというときは、
臓器の位置や硬さなどの不具合も調べていますが、
それと同様かそれ以上の精密さで腸腰筋を観て修正をくわえています。


ですが、この腸腰筋


私が整体の学校に通っていたかつてのとき。
腸腰筋を、持続性あるごくごく弱い圧で調整をするやり方を教わって、
受講生同士がそれを互いにやっていくことがありました。

すると、翌日。

いまだ感じたことがないひどい腰痛を得て学校を休んだものが30人中12名。
正直、講師は受講生上がりの若い先生でしたから、
教え方が適当だったんだろうと思います。
でも一応はSOTという特別な施術法のテキストは配布されているため、
それを皆さん、注意深く読みながら手技をした結果が、12名の腰痛や下痢や発熱。

大腰筋の手技のやり方はテキストには図入りで解説してあったのです。
ですが今考えてみれば、
大腰筋の状態の読み方は、まったく書かれていなかったことを思い出す。。。

大腰筋も、その筋肉が上から下まで全体が硬くなっているわけじゃない。
それで大腰筋全体を観察して、鼠径部部分の大腰筋が硬いか、へそ下か、へそ横か、みぞおちのところか、
など硬さが際立つ部分のみを探し出して、その部分を緩めていくなら問題はこんなに深刻なことはなかった。
いま、私が大腰筋をチェックするときは、大腰筋の内側と外側を陰陽で分けて考え、へそを中心に、上下や鼠径靭帯との癒着の様子などを視ていきます。
それだけでも詳細なチェックで、片側の大腰筋につき12か所を手で触れて状態を確認してからそちらへの対処をします。
そうすることで分布された異常な硬さ部位を的確に把握して、その他の正常部位への硬軟の幅を減らすように仕上げるのです。
そのようにすれば、先ほど私が整体学院に通っていたときに起きた、大腰筋を調整して起きた問題に陥ることがなくて、
理想的なそこを治療点としての筋の扱いとして改善をうながして全体の状態を整える重要基幹としてもちいることができます。


ではなんで、腸腰筋を解かれた受講生たちの多くにこっぴどい腰痛が起きたのでしょうか?
たとえば臍脇に大腰筋の硬化が著しいものが単独であれば、そこを緩めて、大腰筋の全体の緊張を弛緩させればいい。
それが、その硬化したところの硬さが鋼のような硬さなため、なんとなく教科書通りの手技をしてみせて解けたつもりになった。
そしてそこの極端な硬化の芯が放置されているまま、他の柔軟性がまだあるみぞおちの大腰筋部分などの解けやすかったところは、
解いて反応があるからどしどし解いた。。。

その結果、大腰筋内に硬軟がさらに著しさが増すことになった。
ひとつの筋内で硬軟の差が増すことは危険なことで、それは筋繊維の断裂へとつながります。

それが腰痛原因です。

確か2名程、それでぎっくり腰になっていた。
ぎっくり腰は、大腰筋の筋繊維が一部断裂しておきる症状なのです。


そういうことを私は体験していますので、
施術で大腰筋を解くには十分な触診力と対処法の熟練度を要するものだと思っております。


ただし、つぎのような場合は、少しのトライはできる状況だと思います。
たとえば施術者が、そのお客様のお腹部分の大腰筋の硬化位置を特定して伝えておいて、
その部分を少しだけ念入りにケアしてくださいねというのは「あり」です。

たとえば。大腰筋ストレッチも、正直言って、それが契機で腰筋をおかしくするひとが出てくることがあるため、
普段からバレエとか柔軟を丁寧にしておられる方は別ですが、
そうでなければ、やりやすいからと言ってそれを一生懸命やりすぎては危険がでてくることがあります。

※ 大腰筋ストレッチ とネットで検索すれば、その解説をしたページが容易にいくつもみることができるでしょう。

つまり大腰筋が硬くなるっていっても上下30㎝にわたる棒状の筋肉で、
それがまんべんなく同様な硬さになっているということはないのです。
すると、、、大腰筋のストレッチをして、伸びやすいところは伸びますが、拘縮が先に強くなっていた部位を持っておられる方の場合、
先ほど申した一本の筋肉の内部に硬軟の差が著しい状態が現れるのです。
そのときに容易に筋繊維が裂けるんです。。。
そうなった結果、不調に陥ると、よい見立てをして対処をできる先生が身近にいなければ長く患うことになります。
(※ そういった方を、大腰筋ブームのとき、私は多数見てきました。
   私も、このかたは当時の私の技量では対処できないという人が2割ほど含まれており、
   相当苦労して、改めてその大腰筋の再構成をしていくといったことをして、まぁまぁのところまで引き上げた記憶があります。
   ただ数名の方は、当時の私の技術では無理だと判断して、他の治療院を探してくださいと早々にお伝えしました。
   かなり失望されたはずですが、こちらで大腰筋に異常が出た状態が長期に維持されると、お客様の身がヘルニアとなるほどの
   前後彎曲があって椎間板が危険な状態でした。
   それは緊急を要する状態で私の所で対処を研究するからと引き留めては、お客様の治る機会損失になると考えました。
    お客様がお帰りになられるとき、バーンとドアが壊れるほど強く締めて行かれたことを覚えています。

   いまなら、右側のみぞおち奥と左側臍より5センチ下の硬結を緩めればいいというのはわかっています。
   当時は、左右両側の大腰筋を24か所に分類して見立てるような発想は、私にはありませんでしたから。。
   いまも、緊急を要するならそうするしかなかったと思っていますが。つらいですね。。)



自身でおこなう安全な対処法としては。
大腰筋を自身でマッサージ用のごま油やピーナッツオイルをもちいて、
大腰筋の部分を軽度のマッサージを加えるというやり方は、比較的ダメージもこもらずに、
自身で大腰筋の状態の傾向を把握できますし、自身の大腰筋をどう使ってどう凝らせているかを理解する助けになります。
大腰筋が臍脇辺りやみぞおち奥などで硬くなると、石の硬さと冷えの状態になってしまうこともあるため、
そのような状態へ進んでいた場合には無理して自分で解くことは控えて、施術をする方にまかせたほうがいいこともあります。
そしてそこまで硬いわけじゃないとわかれば、自身での筋肉の流れに沿ったマッサージで力の加減を弱めにして繰り返しの手技を大切にする。
そうしたことをする場合には、効果的なセルフケアとして成立すると思います。



またオステオパシーの手技のひとつにあたるストレインカウンターストレインという手技には、
大腰筋や腸骨筋の筋膜リリースをするやり方があります。
以前、お客様には仰向けに寝て足を椅子の座面に乗せるような姿勢で90秒キープといっていた、
その手技ですね。
これは比較的、反動が少ないとされる手技のひとつだと感じますが、
ですが、それでも現在の大腰筋の状態が本当に問題であるのか、または臍の横とかみぞおちの大腰筋部位とか、
どの部分が異常拘縮があるかという状態が施術をする者が正確に把握して、わかって、
そこへのリリースに一点、焦点を合わせて解放される姿勢を探るのが本来のものです。

私が、お客様の大腰筋をカウンターストレインでリリースするときには必ずそうしています。

ホームプログラムとして、施術者が100点を取りに行くのに対し、
50点を取りに行ければいいんだというときには使えます。

ただしやはり現状把握が正確でない場合は、誤診以前に問題を含んだ状態だと考えてください。
なのでやってみて不具合を感じることもあるはずです。
イメージできない痛み等の不具合を感じたときには、速やかにその姿勢を解除して、しばらくの間、
横向き寝で多少丸くなる感じの安静の姿勢をとります。




大腰筋は深層筋のなかでももっとも深い深層筋です。
そこは最後の仕上げに見るか、または既に表層筋や中層筋といった、骨を動かすための筋肉群を緩ませるのを先に解くことが重要です。
大腰筋を含め深層筋と呼ばれる筋群の役割は、骨格の正しい位置に保持させる作用を強く持ちます。
つまり、深層筋を外的な圧等で変更する場合、どのような骨の位置のずれが見受けられなければ、
正しい方向にばかり修正をかけられるわけではなく、先ほど申したような腰痛を引き起こすような、
腰椎の並びのずれを加重させて不具合をあらわすようにもできるのが深層筋をいじるということです。

なので表層筋や中層筋をリリースした後にどのようなところまでそれらが解けたかを把握し、
それをもとに正確に骨をどう並べて設置していくかのプランを立てた状態まで計算してから解くべきなのが深層筋。
そして大腰筋はそのようにすべき際たる筋肉なんです。


そう考えると、実はカウンターストレインのホームプログラムも、安易にやりすぎると、
かえって左右の大腰筋の筋肉の硬軟の状態がならされる方向ではなく、逆に離れるなら、
それでもぎっくり腰になるリスクはあるんですね。。。


そういったリスク回避をするために、
深層筋のリリースは後回しにして、
先に、表層や中層筋というセルフマッサージで安全に解けるところをきっちり処理していくことが勧められます。

それが十二分に済んだ時、大腰筋への修正手技へ手を伸ばすというのでしたら、
自身の身体内部に位置する大腰筋の精密な状態を把握しているようでしたら。
そのときは圧法でも、カウンターストレインでもよいので計画して解くようにするといいでしょう。