釘をうつ「かなづち」。
かなづちの柄を持って振り回すと重く感じるが、
かなづちの錘になる鉄を持って振り回すと軽い。
同じかなづちなのに振り回したときの重さが違う。
持ち手部分に錘があるときは軽くなり、
持ち手部分から錘が離れればその距離に比例して重くなる。
そのような法則が成り立ちそうだ。
相撲の力士がしている四股を踏む動作。
この動作をするときに工夫をする。
足は下腹部部分からつま先まで伸びている。
下腹部部分に重さを感じ脚部が弛緩し軽くなればスムースに持ち上げられる。
脚部の末端に重さを感じ緊張させ持ち上げようとすれば重く感じる。
先ほどのかなづちを柄を持つか錘部分を持つかでの実験と同じ結果を得れる。
そのことがわかるでしょう。
実際に四股を踏む練習をしてみた。
すると足を上げるとき、
下腹部のなかの骨盤部分に重さをおかなければならないため、
上半身の筋弛緩もしなければならないことに気づくだろう。
多少でも腕や胸に力みがあると足は軽々とは持ち上がらない。
思うように動かすという制御ができなくなるのだ。
手足の先をかなづちの柄と捉えること。
手や足の末端は徐々に先細りしていて、
いかにもかなづちの柄はこちらですよといわんばかり。
錘はといえば、
大腰筋の上端が足の筋肉の始まりで
広背筋の下端が手の筋肉の始まり。
足には骨盤の腸骨、手には肩甲骨という
手足を自在に制御する道具が備わっている。
この部分を持ち手として持ち手足を動かしています。
ダンサーが自在に自分の手足を優雅かつ繊細に使うため、
手足の錘部分を正しく持てばいいことを
血がにじむような努力で体現しています。
無重力感覚で足を頭の上まであげるには、
とても大切なことだと思います。
ただ緊張したり力んだり筋膜の癒着が進んでいれば、
なかなかうまくこれが使いこなせないんですよね。