血とは物質。静的性質をもっており、陰陽でいう陰にあたります。血は栄養やうるおい成分を含み、酸素供給の役割を果たし、細胞や組織や器官を滋養し機能を支えてくれております。
ただ血とは血液。物質です。
血液自体は静止する性質があるため、血があるのみでは全身を循環し滋養することができません。
そこで血を運ぶ動力源が必要となり、その立役者が「気」です。
気とはエネルギーのこと。動的性質をもっており、陰陽でいう陽にあたります。
ここでは複雑になることを避けるため、ざっくり『気』とだけ申し上げますが、
水槽に酸素を送る電動ポンプのぶくぶくは、通電させて空気を水槽内に送る機能が発揮されます。
人体でもそれと同じような仕組みで、血や津液を循環させているとお考えください。
血があっても気が停滞しては血の循環がなされないため、体の不調が現れてまいります。
その意味で気があることは血液循環には必要だとイメージしていただけるでしょう。
そうした考えで、気が正常に流れるようにすることは、健康目標の重要項目として推されます。
経脈や血脈に悪影響を及ぼすトリガーポイントがありましたら、その気を停滞させる箇所を超えて気を正常に通過させることができなくなります。そうした停滞させる箇所の手前は気が実となり奥側は気が虚となります。必要に応じて過剰に実になった箇所の気を瀉するようにして、それから気の流れをブロックする停滞箇所を緩めることで、現状のその人のもつ気の流れる量が流れる仕組みです。ただこのときも、すでに気の生成が足りていないような場合もございまして、そうなると気を流れるよう気滞ブロックした箇所の気を通るようにしても、たとえばもともと気の量が正常な状態の半分ほどしかなければ、気が通せたあとも気が足らない不調状態は続くことが現状であります。
血を運ぶ作用は気の動的な力に依存していますから、気が足りない分、血も運ばれる量が比例して減ってしまうでしょう。
そういう事情もありますので、施術による外的な刺激を与えられ気が通りが良くなったとしても、正常に機能できる量の十分な気が蓄えておられなければ、気を通すのみでは現状の調子は維持できずに失速する可能性が出てまいります。
そうした場合には、薬膳では気を補う目的でお勧めさせていただく、日頃の食生活に取り入れていただきたい食材や場合によりその食材に対する調理法をおつたえいたします。残念に思われるかも知れませんが、急激に体調が変わったとか体質が変わったという部分は標治といっ対処療法的な部分の対応となりますが、気が生成できないで足りない体質という方の体質を改善させるには、3ヶ月ほどはかかるものと了解をしていただき、状態変化により対処を変えていくことが勧められます。1ヶ月でガラッと体質がという方は、正気がだいぶん体内に余力としてある方で喜ばしいものですが、数ヶ月か数年レベルの長患いのような不調の継続があれば、だいぶん正気を削っておられるでしょう。そうなれば腰を据えて取り組もうとするほうがよいでしょう。
そして気が停滞することもありますし、気が足りてない場合があると同様なことが血にもあります。
血では血脈内に血瘀と呼ばれる血液成分がかたまってできた病理物質が血の流れを停滞させることもありますね。瘀血体質と言う言葉を聞いたことがあるかも知れません。血瘀はその場に固定し、血瘀箇所を緩めようとすると刺痛と呼ばれる激しい鋭い刺すような痛みがでることが特徴です。強めの筋膜リリースで、ひーぇーと痛みが感じられるのは、施術で力任せにゴリゴリしていたわけではなく、こうした血瘀の形成が内側にはびこっていたのが原因で、拒按といって按じられることが大嫌いな状態です。ただうまくリリースをしていくと、時期に血瘀は勢いよく患部を通過する血液によりボロボロに破壊されて血脈内がスムースに通れるようになってまいります。すると、リリースされる以前は痛かった部分でしたが全く痛みが感じなくなってまいります。筋肉の柔軟性や温かさ、その微細血管にまで血が届いていくような赤ちゃんの筋肉のように変わることさえあります。そしてこうした血が通れない血瘀の存在は、同時に気の通れない状態でもあります。それゆえに気血の流れが足並みをそろえて改善していけるというわけです。
ただここでも問題があります。気がそもそも足りないという体質を先にお話いたしましたが、同様に、血がそもそも正常な量を下回っている場合もございます。その場合には、血を通す血脈内の血瘀の存在が小さくなったとしても、もとより血が足りていないため、血虚状態により生じる不調原因は拭えていないわけです。そうしたときには血が足りない量を補うような薬膳の処方を講じるのも一つの手でしょう。さもなくば血瘀の改善がみられても血虚証による不調は消えませんから、血の不足分を補う手当も大切になってまいります。そのやり方は、気を増やす手当と同様にございますから、安心してください。
じゃ、自身の気や血は足りてない状態?
気も血も、体の内側で流れてるもので、目で見るのは無理じゃないかなと思われるでしょう。
ですが、簡単に気血の様子を舌でチェックすることもできます。
気が足りてるかどうかは、たとえば望診により舌がボテッと胖大となり、舌に歯型がくっきりしておられれば気虚状態でございます。または舌の厚みが薄く、舌に亀裂のようなスジが入っていれば血液の量が足りていないかもしれません。また瘀血体質であれば、紫斑などがみられるでしょう。
舌診だけでは正直、精度が低いものの、一定期間、見続ければ傾向がよく把握できて参考になってきます。日々、舌の様子は体調により変化しますから、一定期間観察して気血の不足がありそうと感じたら、適切な手を打つことが望まれるでしょう。
ちなみに足りない気を補うことを補気といい、足りない血を補うことを補血(補養)といいます。気も血も、同時期に両方とも足りていない場合などは、補血を先行させれば血が部分的に濃くなりすぎるところが現れることによる血の停滞を生じさせかねません。そのときは理気作用のある中薬の陳皮等を同時に加えるなどで対応するなど、副作用がでないようにする対策も必要となってまいります。病の状態が慢性化したと思われるお方は十二分に信頼が置ける漢方薬局等でご指導を受けるようになさるとよいでしょう。![]()