私は施術中に怒ることはめったにないです^-^)

先日の施術の帰り際に、おっしゃっていただいたこと。

「鈴木さんは、怒らないんですね」


どのような意味か?
その言葉を聞いたときには、
ピンときませんでした。


「今までいったことのある他の先生は、私が体のことを訴えると
しつこいというような感じで怒っちゃうんです」
いくつかの施術院に通われたのでしょう。


お客様の腰痛が厳しい状態でありました。


左側の腰椎2番に突き出るようにのびた
トゲ状のしこりをどうにかして欲しいと訴えました。


かつてその部分の棘がひどくなる前は
これほどの痛みがなかったといいます。


これができてきたときに痛みが辛くなってきた。
だからこれをリリースすればよいのではないか。
というのがお客様のご自身の見立てです。


お客様の発想は、
私も理解できます。
私も施術の経験が少なければ、
そう考えていたかもしれませんね。


経験長く研究を惜しまない施術者ならば、
腰部のしこりが単体で痛みをだしているのではないと、わかるはず。


ましてや・・・。


その部位が緊急避難的にしこり化してくれていて
腰椎椎間板に異常な負担が強いられている状態を、
自前のコルセットにして痛みをカバーしている。


お客様が自身でここのみを集中して解こうとして、
木の棒などを使ってごりごりと押し付けて解こうとすれば、
問題はもっと深刻な状態になったかもしれません。
かつて小田原のお客様で同様の状況であった方がおられて
その方の様子に大変に類似しておりましたのでそう予測いたします。


全身をチェックすれば、
明らかに硬化して動きを制限させられた後屈した胸椎や仙椎、
それに股関節のハマリの甘さがある。
若い男性なので筋力があるのですが、
それがかえってずれた椎骨を無理に動かそうとして腰椎の椎間が短くなり、
動きを失っています。


そのようなときに無理して動かすと、
ぎっくり腰や椎間板のすべり症や腰椎ヘルニアなどにまでなりやすい。
若くて強力に縮む良い筋肉を持っている人は、
かえって症状が悪化しやすいので気をつけたいものです。


部分的に体を見ないで脊椎全体から眺めるように説明をしました。


その日の施術のお帰りの際に、
おっしゃられた言葉でした。


私が理解した状況を何度も繰り返して手を変え品を変え、
分かってもらえるように説明をします。


一度や二度では説明してもぴんとこないものでも
それは実際にリリースが進んでいけば、
私が言うことが嘘じゃなかったんだなと
いずれは分かっていただけることですから。



ただし、
このお客様の腰部の深いしこりはなかなか解けません。


それは筋膜マッサージでは直接的に接触できる面にのみ、
摩擦圧をかけて熱を発生させてずりっと剥がすわけです。
ですが胸椎の後面の触れる部分に問題があるだけでなく、
心臓や肺が詰まっている面の胸椎の内臓側。
こちらにも骨化した硬さの椎間を結ぶ靭帯が占めている。
ここはダイナミックに筋膜の癒着をリリースする
筋膜マッサージでは解けない。
代替えでリリースする方法をいくつか考えてはいるが、
想像以上に大変なところなので。


施術は奇跡などありませんから。
まったくもって技術であり科学。
それを無視した解法は無茶です。


どんなにここをスグにといてといわれましても、
お客様の体のことを第一に考えるならばできないのは当然です。


なのでお客様とのやりとりでは、
私が「簡単に解けるような状態ではないのです。
もうすこし時間がかかることをご理解ください」
とごめんなさいとあやまるしかないのです。


将来の施術技術が向上していけば、
対応できるかもしれませんが今は
私の技量では無理だとわかります。


こんなときに申し訳ないと言えるかどうか。


おそらくお客様が
「鈴木さんは、怒らないんですね」
という言葉は私自身がまだ未熟だと認めた上で、
私の解る範囲内のことを説明する労を惜しまないからでしょう。


ただもちろん次回にはどうにかせねばということで、
対応できなかったことは課題としてリストしておき
次回にはなんらかのアプローチを試みるのが常です。
それで私は技術の実力を底上げしてきましたから。



私は他の施術院にあまりいったことがありませんが、
患者様をお客様と思わないような扱いをする先生は
おられるようにうちにお通いになられるお客様から
お伺いしています。


私もこのお客様は状態が深刻だと思えるときには、
真剣な顔になります。
ある程度健康な方でしたら、
時間的な余裕がありますが
状態が深刻な人は時間が貴重です。
しめてかからないと私もお客様も後悔いたします。



そのようなとき以外は、
まったく平和そのものです。


一瞬、真剣な顔をしているときも、
別段、怒っているわけではなくて、
頭で状況を把握しようと必死なだけですから。^-^;
しんぱいしないでください。