身体の見え方が詳細に見え始めたという話
高温多湿のサウナ。
「身体が温まり汗でたくさん老廃物を排泄できるから身体にいい。
そういわれるけど、私は、すぐ出たくなちゃうし苦手なのよね」
そうおっしゃられる方がいます。
私は自分にはサウナが苦手ではないため、
人それぞれの好みのひとつなのだろうかと以前は考えていました。
《サウナで汗を大量に失うと『深刻な体調不良に陥る体質』の方がいる》と理解できたからです。
中程度以上の瘀血体質まで進行すれば、
血流の阻害要因となる血行不良は忌むべきです。
血行不良の状態が継続して血の流れが遅滞することで
血液内成分が凝固していくことで血瘀という病理物質を体内で生成します。
血流が清流のようにさらさらと流れれば血は清らかなままを保ちますが、
血流がせき止められたり流れが緩慢になったら血はよどみ溜まりだします。
これが血瘀となる理由のひとつですから、
血行不良により冷えた箇所が凝固が強まりますので、
そうしたときは熱を身体の外から補い体内の凝固物質を溶かす対応が可能。
それはとても物理的な影響をあたえて体内の血流を改善させる良策です。
ですが体内への加熱により体内の津液が汗として多量に失われることで、
体調を悪化する体質の方であれば、どうでしょう。
たとえば体内の津液といううるおい物質が、
正常の場合より10%少ないときに、
それが汗の排出で20%という過剰な減少となった。
体内は液により栄養や酸素を配り排泄も液の循環でおこないます。
すると体液循環に欠かせない液が急速に減少したならどうなるでしょうか。
いままではうるおい物質が少なくてドライアイや乾燥体質でも、
どうにかやってきたギリギリのラインだったものの、
そのラインを越えて生理的に危険な状態まで体液が漏れ出たなら。
それでも血液の凝固物質を溶かすのにサウナがいいといえるでしょうか?
実はこうした体内のうるおい物質が少ない方のことを
中医学では『陰虚体質』といいます。
『陰虚体質』とは、
【陰】は陰液である血と津液の総称であり、
【虚】は不足している状態を表します。
つまり『陰虚体質』の方は血と津液が不足している方のことです。
こうした方の特徴はほてりのぼせがあったり、
ドライアイその他の乾燥があったり。
いくつかの特徴が見受けられます。
たとえ『陰虚体質』であったとしても、
上述で説明に使った体液が正常状態と比べてわずかに少ないだけであれば、
おおよそサウナに入って血瘀といった病理物質を溶かして、
血瘀によりなされた血管の圧迫により起きた血流阻害要因を除去することは悪くない手です。
ですがうるおい物質が身体から多量に失われた強度な『陰虚体質』なら、
話はまったく違ってくるのです。
こうした場合でも血瘀は物質的な病理物質である以上、除去されるのです。
ただ急激な血瘀の除去は、血がすでに量的に少ない状態のものの場合気をつける点があります。
それはどういったことかというと、
減少した血の量でも脳や心臓などの優先的に血液を送り続けなければならない器官や組織には、どうにかやりくりして血液を送る仕組みを作って運営してきました。
時間をかけて徐々に血の量の減少が起きてきたことにより順応できたのです。
それが急激な血瘀の除去は、そうした脳や心臓への優先的に血液を送る仕組みを崩してしまい、それらの組織に生理的に危険な血液の減少を強いることになるのです。
この場合の対処手順として正解は、
正しい血流が再開される前に、先んじて足りない血液量を補って増やすこと。
補血作用を高める食や漢方の補陰薬を取り入れるのもいいでしょうし、
血を増やすために弱った脾を健康にすることも推奨されます。
やり方はその方によりますが、
対処法は数ありますからやりやすい手を用いて実行することです。
このような下準備で強度な陰虚体質を改善させることができます。
こうした陰虚体質の改善がサウナを使う手順は欠かせないことで、
それをせずに強度な陰虚体質の方にサウナを強行するのは誤った治療法です。
ちなみに私は気と熱が足りてない『陽虚体質』ですから、
乾燥はしてはおりませんので汗が多量に出てもまかなえます。
熱が足りてない体質故にサウナで体外から熱を体内に取り込むことで、
冷えた体深部に熱を届けられできかけの血瘀がゆるんで血流阻害要因が消失。
その後に血流が復活して体調が良好となったわけです。
そうしたとき自分目線だけしか持たなければ、
『自分にいいから、人にもいいはずだ』と感じるでしょう。
こうした思い込みは危険な考えといえます。
私と似た体質の人はいますが、
まったく同じ体質の人はおりません。
自分の身体は経験しているからわかるものです。
他人の身体がまったくわからないという姿勢で
他者の尊重をして伺うことが重要だと思います。
そうした自己中な思い込みをなくすことがなければ、
間違ったやり方を他に強いることになりかねません。
健康食品や健康グッズ、その他の他者へ影響を与えるものについて
私を含め『自分にいいから、人にもいいはずだ』と視野狭窄した勧めは、
世に多くあるように感じます。
そうしたことをより具体的に身体の性質について学ぶなら、
すっと腑に落ちてきました。
それには中医学の《気・熱・血・津液》の過不足や滞りといった病症の体質を学び、
<100人いれば100通りの体質がある>と誰でも言える大雑把なことをいうのではなく、
<100人いれば100通りの体質を言い表します>といえることが必要です。
もし100人いれば100通りの体質を言い表せる力があれば。。。
強い陰虚体質の方がサウナが苦手でつらいのよとおっしゃられたとき、
あなたがサウナに入るとこれこれこういった状態にあるからだろうと
そのときにわかったことでしょう。
わかっていたなら
『この方はサウナのよさをわかってない!』
『それって好みの問題かもしれませんね。』
と手前勝手なことを思う必要もございません。
『あなたの陰虚体質が、そこに絡んでの状況だから』
とお客様に身に覚えのある陰虚体質の特徴を紹介して納得していただければ、
陰虚体質の体質改善をしたほうがいいと実感するきっかけにつながったはず。
病的な状態をしめす体質であっても、
長年それが継続し続ければ当人にとって当たり前のことです。
時たま不都合を感じることがあっても、
適切な改善方法が見つけられなければ、
それを対処法で対処するのが限界で、
不都合を受け入れるしかできません。
それが実情です。
そうした不都合に陥ったところから、
もしも抜け出せたらどうなるだろう?
そうした希望は私には体質を知るには専門的な勉強が必要でした。
ここ数ヶ月、1000本の漢方や中医学の映像を観続け、
根を詰めて勉強して人の身体の見方が変わりました。
そして。
なるほど。。。
こうした体質の違いがわかってない状態では、
手技療法で施術の手が無限に出てきてしまい、
手を出す優先順位や手順が不鮮明になってしまい、
いつも悩みの縁を歩いていたのはこれだったのか。
こうした体質とその解法という公式を知らずにいて、
ひたすら私の手元にある施術書のエビデンスを試したとしても、
そこに最適な進むべき道のルートは描かれていなかったのです。
当時に専門性の高い体質の評価や判断がわかっていたら、
本質的な体質を見据えた施術が提供できたかもしれない。
そこをいま、
お客様のひとりひとりの顔を思い出しつつ感じています。。。。。
そうした専門性の高い体質を見抜けて対処できていたら
施術を受けていただいたお客様にも、
そうした体質が改まる価値を実感していただけたかもしれません。
最後に余談です。
私の身内にすでに体質改善に着目して改善行動にでているものがいて、
柳の下で見えなかったおばけの尻尾を、
ガッと握って試行錯誤しつつ前進しています。
試行には失敗もありますが、着々と学びが深まってきて、
強かった陰虚体質の病的状態に雄々しく挑み続けているところ。
自分で自分の体を操縦して前進している成長と変化から、
前向きな変化の風が起きています。
陰虚体質の場合、
血流が良くなると返って疲れやすくなるものです。
夢でも『しんどいーよ、疲れたー』といってるそうです。
それは血液量が増す対処と同時進行に手を打っています。
ゆくゆくは血液量が適正化すればこの疲れも解消するはずです。
ただ補血以外にも、さまざま個体的な特殊な体質が混じるなかで、
迷いつつもタフに自力でゴール目指して歩んでおりますね。
私同様に薬膳の勉強をし始めたものですから、
そういった自己の変化を自力でやりきった体験ができたら、
すばらしい。
かけがえのない財産となるでしょう。
そして。
私は私で負けじと陽虚体質とその他混じる体質の改善に取り組んでいます。
単純な陽虚体質だけだったら定番の対処ですむのですけど、
そういった人は少なくて、たいていが複数の体質が入り混じります。
複合体質へのアプローチの仕方は学び定番がわかってきたものの、
それを自分に臨床で試すとわかりますが、
ほとほと一筋縄ではまいりません。。。
特に高齢になってからの体質改善は、
いままで積み上げた負の遺産を少しずつ削っていくものとなり、
カンタンじゃないんですね。
ひとつ前進できたら壁がでてきて、
それに対抗できるだけの学びの量をこなして壁を越えて、また壁が現れる。
その繰り返しを体験しています。
ですが私も自己の体質が変えられた体験をしたいと願っています。
いまがそれをかなえられるチャンス。
それもラストチャンス。
生きているうちに自分の身体に責任をとろうと考えています。