呉式太極拳の老師の一人に呉図南(1884〜1989)老師がおられます。
高齢でもなお指先で大男を投げ飛ばす達人です。
では幼少から健康体であったかというと
決してそうではありませんでした。
むしろ肉体にハンデを背負っていました。
生まれつき先天性肝炎と先天性肺結核で、
しかも骨盤と下肢がバランスと柔軟性に欠けていました。
足の長さが左右で2cmも違っていて、
あらゆる医者から見離されたそうです。
太極拳を続けるうちにすっかり健康になり、
ついに達人と呼ばれしかも105歳の長寿を生きたそうです。
呉図南老師のビデオがネットにありました。
http://xingyi.seesaa.net/article/21120927.html
とても軽妙な動きで呉式太極拳のイメージが、
このビデオを観て変わりました。
研究熱心な老師で『太極拳之研究』などの書籍も記しました。
当時で100歳を越える長寿を生きるには、
よく養生法に則った生活を送っていたはず。
中国では四種類の仙人がいるという。
『真人』とは、
心身ともに天地の運行に溶け込んだ状態となり、
その寿命は天地と同じく無限である。
『至人』とは、
天地の大道にかない、
その寿命を可能な限り伸ばすことができる。
『聖人』とは、
心身ともに過労せず、
百歳以上の寿命が享受できる。
『賢人』とは、
自然の正邪をわきまえ、
悪い気に当たらないように気をつけ、
長生きできる。
真人や至人となることは至りがたい。
だがよく養生法を心得て身体の仕組みを知れば、
聖人もしくは賢人へと至ることは可能だと信じる。
健康で長寿を全うした呉図南老師の老獪な動き。
修練の末に得た自信と透徹した肉体バランスと美しい所作には目を奪われる。
映像でこのような素晴らしい老師の動きを見ることができることに、
深く感謝いたします。
中国武術では老師が尊敬されているのは深い知識があるだけでなく、
いつまでも研究を怠らず成長しつづけている姿勢からも向けられる思いがあるからでしょう。
素晴らしいことですよね。