脈診ができてくると施術上の安心感や安定感が増すという実感

経営の神様、松下幸之助が面談をするとき、
『あなたは運がいいですか、悪いですか』という質問をしたそうです。
そして運が悪いと答えたものは、どんなに学歴があり有望なものでも、
採用しなかったという話があります。

コントロール不可能なことに対して
心配しすぎていませんか?
そんな気持ちがつづくと大事な運を逃します。

自分が興味を持てるコントロール可能なことをみつけ、
そこに対して心血を注いでいると、自然に運気が上がります。


私は、
身体の構造体をみてアライメントの正常化から機能を改善させるという仕事が
過去の私の仕事だと考えていました。
ですがお客様の状態を読み切れていないと感じられ、
どのようにしたらお客様の体内情報を収集し分析して施術の手に加えられるか。
そこを求めていたときあらわれたのが脈診だったり経絡の見立てでした。

昨日の施術で。
施術始まりに
『ちょっと脈を見せていただけませんか?』
と手を取り撓骨動脈の状態をチェックするかたちで脈診をさせていただきました。
脈診は、左右の手等の撓骨動脈の脈管内を流れる血液の量や状態やリズムを診ます。

得られた脈の情報の詳細は控えさせていただきますが、
気になったことがありました。
右腕でみた脈と左腕でみた脈の状態(脈状)の虚実のひらきが強いため、
身体内部の状態の左右差がうかがえます。

お客様に身体で気になるところは?と教えていただくときに、
主訴として『右肩がとにかくきつく固まって厳しい!ここ、どうにかして!』
というもっともお困りの点と他、症状のみをお伝えいただいておりました。

ですが症状の軽重を考えれば、右肩不具合の主訴があるだけではなく、
他にもなんらか隠れているものが多数あると推測いたしました。
おそらくはそちらの隠れたものが体調不良をつくる実態であり、
隠れたもの、出てらっしゃい!という状態です。

脈は浮脈、中脈、沈脈という見方をし、
浮脈は実証、中脈はちょうどいいバランス、沈脈は虚証とわかれます。
イメージでお伝えすれば、中脈(または平脈という)が良好で、
つぎに浮脈は血流が多かったりで充実しすぎという過剰な状態で、
最後に沈脈は血流量などが減少し悪化して弱っている状態です。
脈状の詳細は差し控えさせていただきますが、
お客様の脈を見た時点で、
本人が気づいていない警戒したほうがいい状態があるとわかりました。

とりあえず、ちょっとしつこく、
『脈をみるともしかしたら心臓に対し負担が強くかかっている様子ですが』
とお話を持っていくと、
今日のところはというか最近はあまり気になるアンバランス状態ではなかったが、
ちょっと前に問題があったため、自分で携帯アプリのようなもので
心電図を気にしているのでと計測した結果データを見せていただきました。
現状、脈のリズムが乱れる不整脈の状態は収まっておられ、
そこをことさらに私につたえてはいなかったとのこと。

やはりそうだったんですね。

私が中医学を勉強する前であれば、
お客様からお話いただいた言葉の情報からそれを手がかりに関節可動域を調べ、
そこから始まって、施術に続けて状態を筋骨格系の状態のみで診ていきました。

そうなると、施術する手順が変わるのです。
もし今回、脈が診れてなくてお客様の気になる主訴を優先して解けば、
心臓に不測の負担をかけてしまうだろう緊張が走る状況が予測できました。

つまり心臓のある側が強いわずらっている側であり、
そうした患っている余裕がなくなって緊張がきつすぎるところを先に施術の手を加えるyり、
患っていない側を(今回は右側の前部)先に緩めていくことで患った側の軽快を促進させから。
そうすることでお客様の身体は負担が少なく緊迫した状態を引き起こしづらくなります。
循環器に関わる部位の不測の負担は、急激な体調不良に至るのです。
そうしたお客様の負担がかかりづらくするケアの手順を取ることが求められます。
そこをミスすれば意識を失われたり、
弱った体内組織に過剰な負担をかけて危険な状態を創り出します。


つまり弱い健康な側が(健側)とされ患って弱くなった側が(患側)というと、
特に全身的な不調があるときは、
必ず健康な健側を先に手当をしていきます。
患側を後回しにしてください。
それはきれいに安全に施術を施したいなら鉄則です。


このお客様のお体は、
御本人が感じているようにいくつかの点で、
こうした体調管理上、こうした健側を手当してから患側をという手順をとるべき。
脈診前に左側胸郭の状態から問題を気づいたので、
脈を取ったのですが、そこで得た情報を加工して施術に活かせました。
それは私自身が施術を安心してできるようにすることになりましたし、
安易によくわからないまま手を出すかどうかという迷い苦しむことも、
だいぶん軽減されたことは本当にありがたく感じました。

 

改めて脈診、勉強してよかったと実感しました。
ただもう一回、脈診講習会に通い直したいとも感じました。
講座受講後に数年経つと、
自分のなかで記憶違い等が内部的にでてきてしまうのが常です。

たしか脈診を教わった中医学の先生からは、
『すずきさん、整体をしていてどうして脈診いるの?』
と脈診講座を受講しているときに尋ねられた記憶がありますが、
まさにこうしたケースで脈診できてなかったら。。。
お客様の情報が知らなかった部分が多くあると気づいたままで、
そうしたところに手を尽くせないままでいたら。。。
こころよく施術を続けてこれたかどうか。
そう考えると、脈診、本当に実践的に役立ってくれています。