セルフマッサージのリスクについて


先日、お体についてお問い合わせの質問メールをいただきました。


ご自身で適宜マッサージをなされて体の筋肉を解放していた状況。


『その後身体に力が入らなくなったり、
頭の中がグルグル回ったりということが起こりましたので、
変にいじってしまって狂ってしまったのではないかと心配なのです。


オステオパシーの先生は
「そんなに簡単に素人がいじれるもんではない」というのですが・・。


それから5日程立ちますが、まだそんな感覚が残っています。 』


九州のオステオパスにかかられておられる方なので、
その先生に適切なケアをしていただけると期待しております。

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セルフケアをするために自分の体にマッサージを加える。
それは物理的に固い筋肉や炎症を持ち痛みを発する箇所をマッサージすること。
それはもちろん簡単に素人でも対処できます。


比較的自分自身の体に施すマッサージは、
強い圧をかけたときの不快感を嫌うため後々まで続く症状を呼び込みにくいようです。


ですが仙骨周辺および頭蓋骨部分・頸部などは精密機械のごとく、
緻密な歯車が噛み合わさり幾重にも筋肉が複雑に絡み合います。
部分だけ解かれて歯車の強弱加減が以前と不釣り合いに作用する。
そうするとかなりつらい身体的不調がでてくるケースがあります。
このような場所をケアするときには危険を伴います。


逆に危険を伴うような精密部分こそが狂いを生じやすく、
そこの部分を和らげることができれば体の状態は良好になる場所。
私どもはその危険を回避していく術を得るために、
時間を割いて研究をしているというものなのです。


できればまずは大腿部・ふくらはぎや腰部・背部(肩部はのぞく)などの太い筋肉を解きます。
これら筋断面の太い筋肉では大きなダメージを体に残すことはありません。
もし仮に自分でマッサージのしすぎで炎症を起こしても、
自然治癒で解放できるような範囲内でしょう。
この部分も適宜痛すぎないように調節して行いましょう。


ただ仙骨・頭部・頸部などは危険ゾーンでありますから、
よくケアの方法を熟知なされていなければ、
『気持ちよい程度の圧で筋肉の流れに沿うケア』を心がけましょう。
そして長時間の刺激は避けた方がよいので3分くらいを目安に。

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また「素人が簡単にいじれる」かどうかですが、
とある整体学院でSOTという頭蓋骨や仙骨を動かす授業実習での一こま。
みんなはじめは初心者ですからうまくありません。
そのなかでも下手な人の実験台になるとき。
そのときほど怖いものはないです。
高熱を発して寝込ませられるひとが続出したからです。


笑い話なようですが下手なモノほど生き残れました。
悲しきサバイバルです。
生き残っても喜べない。


もちろん体の仕組み・ルールを知り、
適切な対処をすれば治療になります。
ですが左右の歪曲ぐあいを読み間違えれば状態を悪化させます。
SOTは強力に圧をかけることは一切ありません。
うまく指を部分に密着させて軽い持続圧をかける。
それでこうなってしまいます。


つまり危険ゾーンのケアには何らかのリスクが伴う。
そのことを承知した上でケアをするように心がけた方がよいと感じます。


私もボディチェックさせていただいたときの終了間際のアドバイスでは、
多くの場合「安全ゾーンを必死に解いてください」
とお願いすることがほとんどであります。


太股とかふくらはぎとか。


実はこの安全ゾーンが硬化しすぎて、
危険ゾーンの仙骨部分や頸部・頭部をゆがませていることが多い。
この安全ゾーンのケアでは、
危険ゾーンをケアしたほどの即効性は感じられません。
ですがこの安全ゾーンがしっかりと自分でセルフケアできていて、
その上で難しい危険ゾーンを治療院などにケアを依頼する。
これが経済的かつ効果的な治療院のかかり方です。