更に改良した自作てい鍼


先月初旬、
ぶっとい真鍮の丸棒を削りだして、
真鍮製の自作てい鍼を制作しました。


自作てい鍼自体の重さを活かしたかったため、
削る部分を最低限にして太いままにしました。


確かに、、、
筋膜リリースをこちらをマッサージ棒のようにして使うと、
とてもよくリリース出来てしまう。
今まで使っていたグッズのなかで、
これはまたダントツに威力がある。


その点は、予想した以上だ。


だが、丸棒状のままでは握りづらくて手元から転げ落ちそう。。。
相応に木刀等を振る際に手の内を作るよう修練しているものの、
施術では気が遠くなるほど強い疲労感もともなう場合が多いため、
少し小さめなものであるだけ落としそう。
このままではお客様の上に危なっかしい。


そこで仕方なしに、少しこちらのてい鍼の周囲を少しずつ削りだし、
側面に筋目を入れるようにしてみた。


太い自作てい鍼.jpg
(このてい鍼。見た目は悪いですが、何度も工夫を重ねて作っております)



そうすると握りが安定しだして施術成果もグンと上がってきました。
その好変化は予想以上だったからうれしいものでした。




たとえば、起立筋脇の一側線という背骨の左右数ミリのところにある部位の起立筋ライン。


こちらが固くなっている人は、
呼吸がしづらくなっていたり、
腰部ならば腰痛や消化器に負担がかかるし、
胸椎部分であれば循環器や呼吸、免疫系にも悪影響が出る・・・。
この一側線の硬化が進めば自律神経系にも
悪しきコンディションとなっていることが当然のように予想される。
脊椎から自律神経の神経ケーブルが脊椎ラインを通して流れ、
それらの神経ラインは神経根という穴からでてくるものです。
それが強烈な第一側線の起立筋群の癒着やそればかりではなく、
その下に位置する靭帯部の癒着は非常に神経根の穴を狭めます。
それがたたって脳から体の末端までの情報をかき集めたくとも
第一側線のしこりも神経根から分岐した自律神経の神経ケーブルは
過剰な引き伸ばがなされたままにされたり、
または萎縮が根付いて詰まらせたままの状態にまる。
あとは何らかの問題が起きそうだということは想像にお任せいたします。


自律神経の症状は、ほんとうに人それぞれ、出方が異なるので、
それを網羅して伝えるにはページがいくらあってもたりません。



ただこの一側線という背骨のすぐ脇の部分は、
お客様のその部位がひとたび固まれば施術者の指で押しても跳ね返させられて掘れるものではなく、
弾かれる。
多少の刺激は入れられるだろうが、
それが向上的な数日も続くようなリリースにつながる成果はない。


それが私がいつも使っている大きめのブロックでは、
相当に使いこなせて手足と貸してくれているものだが。
ただ大きめな重さが3〜5キロもあるブロックで、
ミリ単位に狙うポイントを緻密に設定したとしても、
道具が最適ではないためうまく奥に届くことはない。
大きすぎるブロックでアプローチをしても精度が悪く、
それだけではなく圧する際にリスクが高まるので出来はしない。
間違って棘突起を強く押しすぎて骨折でもさせれば目も当てられない。


そのような危険箇所でもあるから、適度に安全な圧で、
深層まで緩ませようと言う質の圧はかけることはできない。


ちなみに、それは私だけの残念なところではありません。
私の知り合いの非常に多くの施術院の先生方も同様な悩みを持っておられる。
かなりの難問でもあるのです。



それが今回施術用に作ったぶっとい自作てい鍼では、
少しだけハニカム状のイメージに近いラインを入れ使い出したら、
私がまさに計算し尽くして狙った方向をぴったしと捉えてくれた。
ここに至るまで、さんざん重量あるブロックを自在に使う訓練をして施術をしたおかげで、
ほんとうに自分が思った圧の強さと方向などが絶妙感が増してきた。


それでここ数十年以上、どうやっても解けなかった部位も
サササッとリリースの手が入りだすようになってきました。



そしてその他特筆できるのは、
股関節の深部の外旋六筋やそれに相当する臀部奥の筋肉に、
的確に圧が掛けられるようになった。
この部分は手の指で解いたり肘でとこうとすると、
私が作った自作てい鍼の数十倍も痛みが強く出る。
それでアプローチするにも十分得といえる程は整えられないものであった。


深層筋をリリースするというところでは、
結局はすでにしこり化した部位の筋肉は、
すべてが激しい炎症を持っているものだ。
部分、しこり化が進んで血流が極端に悪くなれば、
状態の進行が進み最悪といえるような麻痺となる。
だがそんな麻痺した部位も、やがて血流が戻れば、
激痛を感じるような筋膜の部位が露呈してくるし。


確実に筋膜リリースをして、その成果を毎回、うず高く積み上げていって、
最終ゴールにつくというのが目的だが、
十分なリリース深度が整えられていない施術では、
結果的に解かれてもすぐまた同じ程度の硬さになるか、
かえって解き方が局所的で計算が行き届いてなければ、
身体上の歪みが増幅するような事にもなりかねません。


だから私個人の印象では、
最近は相応に厚さのでた筋膜の癒着部もサササッとか必死にかがんばって解くのだが、
重量感ある自作ブロックを使うようになって成果が安定して出てくるようになった。
だが重量感あるブロックをてこの原理でうまく加圧して入って解き進めたのだったが、
そのブロックでは細かいところに定点的なピンポイント圧がかけづらかった。
それも英字の「J」の字を書くようなJ(=ジェイ)ストロークなどはムリ。


実際に「ここでJストロークできたら、一気にこのトリガーポイントを打破できるのだが」
というときもあった。


それが今回、太めの自作てい鍼自体を使い出してから、実に思い通りに事が進むのです。


これでまた、数カ月前より、倍もリリース深度が整えられた感じを、私的には持てます。



そういえば先日、
知恵泉東尾理子さんが出ていて。
「最近のゴルフはゴルフクラブの進化がすごくて、
そちらを積極的に取り入れてアドバンテージを得て戦うんですよ」
というようなことを言っておられました。


彼女はゴルフメーカーが新開発してくれたものを使うユーザーですが、
私は、自分でひたすら自分のやっていきたい望みの仕事を叶えてくれるようなものを、
自分で作っていく感じになっていて。。。


確かに医療器メーカーが出しておられる、
私にとって便利なグッズを購入して利用するのもいいのですが、
究極は自分の仕事は自分にしかどこにどのようにしたいのかという欲求は伝わらない。
するとおもいあまって、
ときどき「なんで私は、いま、一日かけて真鍮にヤスリがけをしているのだろう」と、
我ながら怪訝な思いになるときがあります。


自作に着手したときに、
最終的にどのように使えるかというしっかりした想定ができていればいいのですが、
どこにも自分が望むツールがないようなときには設計図がなくて参考になるものもないので。。。
ほんとうに迷いつつ試行錯誤して作っている感じです。


そして作り終えて使い始めていくうちに、
徐々に修正をかけていけば使えそうだったら使うし、
どうも没だなと思えるものはお蔵入りになりますし。


けっこうお蔵入りにしたものがあるのです。
不思議と経費を多大にかけたもののほうが
お蔵入りになっていますね。 ^-^;


そんな残念なように感じるときにはアドラーがいう勇気のひとつ、
「失敗する勇気」という言葉を思い出します。
それは、成功するまで挑戦し続ける勇気が必要だということです。



今回の太めの自作てい鍼は、
私に多くのリリース深度をあげるきっかけを与えてくれるようになり、
そして深層筋を、今まで以上にひとつひとつを分けて整理して扱えるようにしてくれたと同時に、
繊細な内部感覚を持ったお客様には「ここを本当に解いて欲しかったんだ!」という部分が解けた。
それ以外にも文字通りの深層筋リリースへ進むことで多大なメリットも生み出すことができるように。