簡単な力学的考察です。
ふたりで一本のロープを綱引きをするように引き合う。
←○・---・●→
そのときに両者の力が拮抗していれば、
ロープは空中の一点で静止することに。
両端から力が同量だけ加えられるとき。
す力がつりあい運動していないように見える状態となります。
静止して動いていない状態ですが、
それは見かけ上のことであります。
力の釣り合いが生じている場は、
常にその場に気が満ちています。
両者のどちらかが力を強めたり弱めたりすれば即座に「動き」が生じます。
力の釣り合いが初期設定で生じさせておき、
それに適量の強弱のアクセントをつけることで
常に動きをつけていきます。
動物といわれるような動く物であり続けるためには、
このような制御システムが裏側に仕込まれている。
中医学的な見方では、
陰陽のバランスという見方でこのロープを引っ張りあう力の釣り合いを観る。
陰と陽でいたるところにロープを引きあっている視点がある。
経絡的にも身体バランス的にも、
他にさまざまなものに陰陽を見つけています。
常に動きを少しずつアクセントをつけて弱めたり強めたりして、
微妙にロープを動かし続けている。
たとえば体が弱っていく方の脈診でいわれる死脈は、
どの経絡のバランスも乱れなく整えられていくなる状態です。
きれいに各経絡の陰陽が整いすぎるときに、
この一本のロープの両端を引っ張る力がなくなりだしたとき。
力が陰陽の両者とも力をなくし虚脱し脈診のバランスが整いだす。
脈が静まっていく。
生命力ある状態では陰陽が明らかにしっかりと相互に引っ張り合い
力がつりあうニュートラルを基本としていつも戻れるようにしてあります。
その相互に引き合う力のどちらかを緩めて、
結果的に動き出すように仕向けていく。
そのような考察が成り立つと思います。
ニュアンスが異なるかもしれませんが、
中国武術をしている方々には身体的な陰陽のバランスを読んで
「虚実分明」といって虚と実を明らかに分けて動きましょうっていいます。
体を統合させるには全身をひとつのパッケージにまとめなければならない。
ただし生きた動きを適えるにはこのような虚実を明らかに分けて
力の釣り合いを体のそこかしこで見つけていくような練りが必要。
そのようなことがいえると思います。